【FIRESIDE OUTDOOR】 焚き火と焚き火料理をとことん楽しむキャンプへ by 小雀陣二

焚き火と焚き火料理を楽しむなら、いい焚き火台が欠かせません。おすすめはファイヤーサイドアウトドアのポップアップピット。大型の焚き火台だからできる焚き火パーティ料理を、アウトドアコーディネーターの小雀陣二さんに教わりました。

小雀陣二(こすずめじゅんじ)

アウトドアコーディ ネーターとして活動するかたわら、雑誌等で提案する「簡単、おいしい、実践的」と三拍子揃ったレシピが人気。シーカヤックツアーなどで焚き火で料理することも多く、焚き火料理は得意分野。「焚き火料理の本」(山と渓谷社)など著書も多数。

いい焚き火台は仲間を繋げてくれる

 朝夕はすっかり涼しくなった10月のある日、キャンプ場に仲間が集まりました。目当ては、焚き火と小雀陣二さんの焚き火料理。火を囲んで語り合い、食い倒れようという一泊二日のキャンプです。
 集合してサイトが決まると、小雀さんは慣れた動きで「焚き火キッチン」をつくりはじめました。作業しやすいように焚き火台と同じ高さのテーブルをL字に並べて、焚き火台は、みんなで囲めるように真ん中に置きます。

 ファイヤーサイドアウトドアのポップアップピットは、簡単に組み立てられる焚き火台です。火床はステンレスのメッシュで、燃焼に必要な空気を下から取り込むため、煙が少なく、薪を最後まで燃やしきるクリーンな焚き火が可能になります。焼き面積が62×62㎝と大きいのも特徴で、大きすぎて持て余してしまいそうに思いきや、このサイズこそが小雀さんの「推し」でした。

「スペースがあると場所によって火加減を変えるのも簡単です。複数のメニューを同時につくれるので、家族やグループで楽しむにはとてもいいですよ」
 こうして話しているうちにも薪は燃え、いい熾になりました。小雀さんは手際よく素材を用意して、焼き網に乗せていきます。新潟名物の鮭の味噌漬けはこのあと炊き込みご飯に入りますが、そのままでももうおいしそう。アスパラや白菜にかすかな焦げ目がついて、その隣でベーコンの脂がしたたってジュッと音を立てます。トングで火床を均すと、ナスはそのまま熾の上へ転がしました。

「火床がフラットでひっかかりにくいのもいいところで、こうして薪をずらしたりするのもやりやすい。最初は、下がメッシュなので燃えすぎるかなと気になりましたが、目が細かくて空気が入りすぎないせいかそれほどではなく、ほどよく燃えてくれるのも使いやすいですね」
 そう言いながらふたたび熾を均すと、メインのトマホークを網の上へドン。肉の塊にみんなのテンションもあがります。なるほど、この大きさの肉を焼きながら、鍋を置いてもまだ余裕があります。

 火加減の調節は熾火の量を調整して行います。さらに強火にしたいときは細めの薪を追加します。追加するこの薪の量で火の強さや時間を調整するイメージです。熾火がしっかりできていて、乾いた薪があれば、そんなに難しいことはありません。同時調理はハードルが高くても、あらかじめつくったスープを片隅で保温しておいて、空いたスペースでBBQならできそうだな、なんて夢が広がります。

「そろそろかな」と小雀さんが鍋の蓋をとると、白い湯気とともにお米の甘い匂いが漂いました。
「あぁ、もう我慢できない」とだれかが言って、プルタブをプシュ! さぁ、宴のはじまりです。

ポップアップピットで作るおすすめレシピ

広大な火床を活かして同時進行で複数の調理ができるポップアップピット。今回は実際に小雀さんに作ってもらった6種類のレシピを紹介します。

今回振る舞ってもらった6種類の料理

■鮭とキノコの炊き込みご飯

材料

新潟米3合
鮭切り身味噌漬け2枚
しめじ15g
昆布出汁の素1袋
ミョウガ2本

鮭としめじのうまみを昆布出汁でまとめた炊き込みごはん。沸騰したら米をかき混ぜるのがコツ。皮や味噌の香ばしい焦げ目にパンチがあり、最後に加えたミョウガがさわやかなアクセントになる。

作り方

  1. 米をストアウェイポットに入れ、同量の水を加え30分漬けておく。
  2. 焚き火の熾火で鮭切り身味噌漬けをほどよく焦げ目が付くくらいまで焼く。
  3. 米に1/2カップの湯で戻した昆布出汁と小分けにしたしめじをくわえ、蓋を閉める。
  4. 焚き火に細めの薪をくわえて炎を上げ燃やし、ストアウェイポットを強火で熱し、沸騰したら薪をならして弱火にする。
  5. 一度米をかき混ぜ、焼いた鮭を並べて蓋をして7、8分炊き上げる。
  6. 5~10分蒸らし、刻んだミョウガをくわえて鮭をほぐし混ぜ合わせる。
まずはしめじだけ投入する
沸騰し米をかき混ぜてから鮭を入れよう

■焼き茄子とネギの味噌汁

材料

茄子3本
長ネギ1/2本
出汁入り味噌適量

やわらかなナスとしゃきっとしたネギ、野菜の旨味と食感がうれしい味噌汁。茄子は熾火の上にそのまま転がしてワイルドに焼く。全体的に柔らかくなったら焼き上がり。皮を剥いて好みの大きさに。

作り方

  1. ナスを皮のまま焚き火の熾火にくべて、まんべんなく表面を焼く。
  2. 全体に柔らかくなったら焼き上がりの目安。火から取り出し、少し冷めたら、皮を剥き、食べやすい大きさに切り分ける。
  3. 600mlの湯を沸かし、ナスをくわえ、好みの量の味噌を溶き、刻んだネギを乗せる。
茄子は熾火で焼く
しっかり火が通れば簡単に剥ける

■牛リブロース肉のグリル

材料

牛リブロース(トマホーク)1本(1kg)
ローズマリー数本
ニンニクふたかけ
オリーブオイル大さじ1
ブラックペッパー適量
適量

「トマホーク(=斧)」と呼ばれる牛のあばらの骨付き肉。大きな肉の塊は焚き火料理の醍醐味で盛り上がること間違いなし。赤身と脂のバランスも良く、味もいうことありません。

作り方

  1. リブロース全体に塩をふって馴染ませ、オリーブオイルを表面に塗る。
  2. 焚き火の熾火でじっくりゆっくり。ニンニクとローズマリーを添えて、肉に香りを移しながら好みの加減に焼き上げる。
  3. 焼き上がったら好きな厚さに切り分け、塩とブラックペッパーをふる。
塩をなじませ、オリーブオイルを塗る
熾火でじっくりと焼こう

■ムール貝の藁焼き

材料

ムール貝2kg
レモン1/2個
イタリアンパセリ数本
ふたつかみ

ステンレス製のベジタブルバスケットを使い、藁の強い火力で蒸し焼きに。むっちりした身を噛むと口の中に磯の香りが広がり、ビールが進む。余ったら翌朝のクラムチャウダーに。

作り方

  1. ベジタブルバスケットに藁を入れる。
  2. ムール貝を藁の上に並べ、焚き火の熾火にかけ、蒸し焼きする。途中、貝の位置を変えながら焼く。
  3. 貝の口が開いたら焼き上がり。刻んだイタリアンパセリを振りかけ、好みでレモンを絞る。
ビジュアル的にも楽しい藁焼き
レモンを小さく切って添えよう

■ベーコンと白菜のグリル

材料

厚切りベーコン1枚
白菜1/4個
レモン1/2個
オリーブオイル大さじ2
ブラックペッパー適量
小さじ1/2

焦げ目を付けた白菜と煙の香りをまとったベーコンは絶妙な組み合わせ。香ばしい肉の旨みを野菜の甘さが包み込む。さわやかなドレッシングに決め手はブラックペッパー。

作り方

  1. 小さいボウルなどにレモンを絞り、オリーブオイル、塩を入れよく混ぜ、ブラックペッパーをふり入れドレッシングを作る。
  2. 白菜はそのまま、ベーコンと共に焚き火の熾火で表面を焦がすように全面焼く。
  3. 白菜は食べやすい大きさに切り、ベーコンを刻んで散らす。
  4. ドレッシングをかけ、さらにブラックペッパーペッパーをふる。

■アスパラとトマトのグリル・胡麻チーズソース

材料

アスパラガス6本
トマト1個
バター30g
クリームチーズ50g
胡麻ペースト50g
ブラックペッパー・塩お好みで

アスパラの力強い味わいとフレッシュなトマトを胡麻とクリームチーズを練ったソースでひとつに。クリームチーズは火のそばで温めると柔らかくなって混ぜやすくなる。

作り方

  1. アスパラガスの根本の皮を剥き、トマトは厚めにスライスする。スキレットにバターを入れる。
  2. 焚き火の熾火でアスパラガスとトマトを程よく焦げ目が付くくらい焼く。
  3. スキレットを中火の火にかけ、バターを溶かして焼けたアスパラガスを馴染ませる。
  4. 焼いたトマトを刻んで散らし入れ、クリームチーズ、胡麻ペーストとからめる。仕上げにブラックペッパーをふる。
切らずに大胆にグリルしよう
クリームチーズと胡麻ペースト

■BLTホットサンド

材料

食パン(8枚切り)8枚
ベーコンスライス4枚
レタス8枚
完熟トマト2個
マヨネーズ大さじ2
粒マスタード大さじ2

作り方

  1. 炭火を起こしておく。トマトは1cmくらいにスライスし、レタスは洗って水分を切る。
  2. マヨネーズと粒マスタードをシェラカップに入れ、よく混ぜてソースを作る。
  3. 炭火でベーコンとパンを程よく焦げ目を付け両面焼く。
  4. パンの1面にソースを塗り、レタス、ベーコン、トマトの順で重ねてパンで挟み、少し抑え込んで完成。
材料は焚き火台でじっくりグリルする
シンプルなサンドはアウトドアの忙しい朝にも嬉しい

今回使った焚き火台

ポップアップピット

¥15,400

サイズ:62×62×39㎝
収納サイズ:68.5×13×13㎝
重量:3.6kg /耐荷重:56.7kg

クアドフォールド
バーベキューグリルキット

¥13,200

多彩に使えるバーベキューグリル

ポップアップピット専用のバーベキューグリル。2枚の網はそれぞれ二つ折りにできるので、焚き火で暖を取りながら残りのスペースで調理するなど、キャンプの時間やスタイルに合わせた多彩なアレンジが可能です。

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