浄水器の必要性について考える

山で安全に水を飲むために

登山歴が約30年近くなる自分が浄水器の必要性を考え始めたのは7、8年ほど前のことだ。それまでは山でキレイな清水を見つければ、のどが渇けば気にせず飲んでいた。
特にお腹を壊すこともないし、水の味の違和感も感じることもなく、「やっぱり山の水はおいしいな」という楽観的な感覚だった。しかしこの10年で水の安全性が疑問視される情報を色んなところから聞くようになり、水場指定があるところでしか自分もほぼ飲まなくなった。数年前から本州でもエキノコックスが確認されている。

北海道では昔からエキノコックスの危険性が言われているので浄水器を使うというイメージはあるが、本州ではエキノコックスが関係ないから勝手に安全だと信じていた。そもそも登山者のし尿、シカなど動物の糞尿、死骸により大腸菌をはじめ原生動物やバクテリアが沢水に入り込んでいるのは事実で、日本全国、水の安全性に確約がない。エキノコックスだけの問題ではないということだ。

今までは水を汚染する原因も知らず知識もなかったので怖くなかったが、いざ知ってしまうとよほど緊急性がない限りは飲もうとは思わない。

上流の滝つぼの近くに鳥の死骸が浮いていた(クリックでモザイク解除)

こんなときに浄水器を持っていく

  • テント泊の縦走登山
  • 山頂までのルート上に沢がある
  • 夏場気温が高い
  • ルートが長く、水を飲む量が読めなくて不安
  • いつでも冷たい沢水を飲みたい

確実にルート上に沢など水が取れるところがある場合は、下から水を運ぶと重いので浄水器があれば軽量化にもつながるメリットがある。夏の気温が高いときは、通常より水を飲み過ぎて水不足になる危険性があるので、チョロチョロでも水があれば使えるため、お守りとして持っていくなど普通に自分の標準装備になっている。

しかし、毎回必要というわけではない。コースを熟知している日帰りのやさしい登山では持って行かない。自分の飲み水の量、その山のレベルなどしっかり把握しているからだ。

浄水器を持って行くことにためらわなくなった理由は、水の安全性やリスク回避であるのは間違いないが、何より昔に比べコンパクトで軽量になったことが大きい。小さくて荷物の負担にならない。

クイックドローマイクロフィルター&リザーバー1.0L

重量101g

今回、日帰り登山でしたが、沢で浄水器を使い水を作りました。山の水でコーヒーを淹れようと思ってたからです。浄水器を使って良かったと確信したのは、しばらく登ってその上流の小さな滝つぼのところに、鳥の死骸が浮いていました。

動物が死んでいるのは自然の中では普通のことのはずですが、その場面を見た瞬間、浄水器の必要性を実感。キレイに見える水もやはり安全ではないということを改めて認識しました。

下山中、キレイな沢を見つけ、また浄水して冷たい水を飲む。

山で冷たい水が飲めることもうれしいですね。

山頂では、浄水した沢水でコーヒーを淹れる
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