SUP(スタンド・アップ・パドル)に衣食住を積んで、夕日が沈む日本海を旅する。
広い静かな砂浜を見つけては、流木で焚き火をおこし、米を炊き、テントで寝る。
そんな島国ニッポンならではの海旅を円滑に、快適に進める道具とは?
カヤックやSUPで海を旅してきた達人・東村 茂さんが、それらを現場で紹介します。
この記事は、全国のアウトドアショップの店頭にて無料配布中の、アウトドアギアスタイルブック「BACKCOUNTRY RESEARCH 2021」の連動記事です。
目次
Toggle【GEAR No.1】ICEMULE/クラシッククーラー
「Mサイズは、容量15Lの中型モデル。氷と一緒に350ml缶なら12本、ワインボトルが5本入る大きさで、2日以上のひとり旅には、ちょうどいいサイズですね。メーカー公表の保冷時間は24時間以上(※氷と内容物が2:1の場合)と、夏場でも翌日までは氷が溶けずにビールを冷やしてくれます。」
「持ち運びは、こうしてSUPのデッキにくくりつけるだけ。使わないときは、空気を抜いて、小さく丸めて持ち運べます。完全防水で、かつ衝撃吸収機能も備わっているので、カメラやレンズ、財布などの貴重品を入れるバッグとしても重宝します。万が一、水中に落ちても浮きますし。」
「これまで色々なクーラーを使ってきましたが、ポータブルなモデルではダントツで保冷力が高いと思います。日常生活では、買い物用の保冷袋としても使えたりして、なんだかんだ一年中手放せない使い勝手のいいソフトクーラーです。」
【GEAR No.2】パックタオル/パーソナル
「肌触りがなめらかで、よく吸収し、すぐに乾く。水のアクティビティーに重宝するアウトドアタオルです。体や装備などを拭いてびしょびしょに濡れても、ギュッと絞って、夏の太陽に当てておけば小一時間で乾きます。64×137cm BODYサイズなら腰に巻いて、着替えもできちゃいます。」
「付属の収納ケースに入れたら手のひらサイズに。重量は181g。装備をコンパクトに、軽くしたいSUPやカヤックのツーリングにはもちろん、温泉・海外旅行にも1枚あると色々使える優れものです。」
【GEAR No.3】シールライン/E-ケース
「スマートフォンや財布など、濡れたら困るものを入れる防水ケース。角に細引きやカラビナを通せるループがあり、SUPやライフジャケットに固定できる点がいいですね。好みに合わせて選べるカラー展開もナイスです。透明のPVCフリー素材は、スマートフォンを内側に入れたままでもタッチスクリーン操作ができちゃいます。」
【GEAR No.4】MSR/ドロメタリーバッグ
「厚く、丈夫な生地で作られたソフトキャリーバッグは、SUPから自転車までツーリングの定番水筒です。SUPやカヤックのデッキに固定できるよう、ウェビングやグロメットが付いていて、いかなる状況下でも携行性を高められるデザインです。写真のように流木などに吊るせば、使い勝手のいいウォータージャグとなり、料理などの作業がはかどります。生地の薄いモデル、ドロムライトバッグと迷うところですが、岩礁や砂浜でタフに使う水辺の旅では、やはり丈夫なドロメタリーに軍配があがります。」
【GEAR No.5】UCO/フラットパックグリルM
「厚さ3.5㎝に折り畳める重量1.7kgのポータブルグリルです。登山のような歩き旅では、躊躇する重さとサイズですが、積載量のあるSUPやカヤックでは許容範囲に収まるコンパクトさですね。構造はシンプルですが、空気を適度に取り入れつつ、熱を逃がさず効率的に調理ができます。流木を灰になるまできれいに燃やせるので、後片付けもラクで、クリーンでスマートな焚火ができます。」
「キャンバス地の収納ケースが付属します。ケースがあれば、ススで黒くなっても躊躇なくダッフルバッグなどに収納できて、便利です。」
【GEAR No.6】MSR/アルパイン2ポットセット
「流木で焚き火をおこし、鯛めし、あら汁を作りました。厚すぎず、薄すぎず、適度な厚さのステンレスは、鍋全体へ満遍なく熱を伝え、コメを美味しく、ふっくら炊いてくれます。ステンレスだから錆びる心配もなく、ラフに使えます。鍋底の焦げ付きも遠慮なく力を入れて洗っても壊れないタフさが気に入っています。」
【GEAR No.7】MSR/スルーハイカー70&メッシュハウス2
このタープとメッシュテントの組み合わせはコツをつかまないと設営が難しいんですが、アレンジがいろいろできて楽しいんですよね。そして小さくて軽いのに居住性バツグンです。まあいつも1人で2人用を使うのでゆったりですが、その秘密は、テント内のフロアがバスタブ構造で垂直に立ち上がっているので、デッドスペースが少ないから広く感じるんだと思います。
タープは単体でも出番は多く、天気やフィールドの状況に合わせて形を変え使ってます。なんか見た目は雨が降ったら、テント内に雨が差し込んで大変そうだなって思う人もいると思いますが、なるべくテント寄りにペグダウンすれば、ほぼ隙間も狭くなり、よほど天候が荒れなければ雨に濡れることはありません。風向きには注意です!またメッシュテントの一面がクローズしていることも大きいと思います。プライバシーも最低限確保できますし。
あと、逆にメッシュは「寒いでしょ」って思いますが、このメッシュの目は細かくて、風をそのまま通さず、軽くブロックします。そのおかげで低地なら3シーズンで使っても寒いと感じたことはないですね。とにかくこのほぼ野宿に近いスタイルにあこがれるのであればこの自由度はたまりませんよ。
【GEAR No.8】MSR/ゾイック1
シンプルなクロスポール構造+短いリッジポーㇽで設営も簡単ですが、何と言っても風に強いテントですね。
台風直撃の野外フェスでもびくともしなたったというお墨付きです。あと涼しい。オールメッシュのインナーテントは海抜0mの海遊びにはもってこいです。暑い夏は夜でもテントの中は地獄。暑いからといって入口を空ければ、風は入るが、やっかいな蚊も入る。痒くて寝れない夜も何回あったか。
この経験からメッシュテントで一度夏を過ごしたら、蚊に刺されず涼しく睡眠が取れるということがどんなに快適なのかわかりました。この遊びではメッシュテント以外選択肢はないと思ってます。
【GEAR No.9】シールライン/プロジップダッフル70L
最強ダッフルバッグですね。完全防水ってところに1番惹かれましたが、実は使い勝手がいいんです。アクティブに遊び人なら、「そうだよね」「便利だよね」と思うことです。まず、バックパックのようにストラップが付属し背負えます。背負えるということは、両手がフリーになり、荷物を同時にたくさん運べます。それはこれから海岸へ道具を運ぶときや、海から陸に上がるときに背負えれば、荷物を海へ落とすリスクも減りますし、重い荷物ほど背負えれば楽ですしね。なるべく道具を運ぶ回数は減らして体力温存です。
あと、ハンドルが4方向に付いていてSUPやカヌーに固定する際のラッシュポイントにもなるので、やっぱりアウトドア用だなって関心しちゃいますね。
カラーは迷いました。フィールドでの視認性を重視してオレンジにしましたが、やはりブラウンが渋くてカッコいいです。
【GEAR No.10】シールライン/バウンダリーパック35
普通にバックパックのように背負えるのに防水仕様なので海、川、湖の遊びに必須になってます。背負えることは両手があく、手にも何かを持てる。
両手があくというのは安全だと思います。磯歩きや、道路から砂浜に降りるときや海から上がるときはバックパックタイプが1番です。
またこのバウンダリーパックは耐久性があるので、岩っぽいところでも多少の擦れでは穴も空きませんでした。濡らしたくないものを入れてるわけなので、耐久性があることはもの選びのポイントになりますね。
素材がビニールタイプで埃でも泥でも砂でも水で洗い流せてお手入れも簡単でGOOD。あと開口部が広く道具の出し入れが楽で、キャンプ道具を丸ごと入れられるこのシンプルさも気に入ってます。
【GEAR No.11】UCO/ストームプルーフファイヤースターター
今まで使っていた着火剤は安価でよいと思ってましたが、煙も出て匂いがきつくて、手も汚れたので代わりになるものを探していました。そこでこの着火剤を進められて使ってみたら、まず風に強くてびっくりしました。海風にいつも悩まされて、風で着火すらできないことが毎度毎度のことだったので、これはすごい最強だ!
先端のオレンジ色のところが燃えきるまで、風があってもは関係なく燃え、その間にだいたい火がつき始めます。約7分燃え続けるので、BBQ用の木炭なら1、2個もあれば何もしなくても着火します。火おこしのテクはこいつがあれば関係なしです。BBQ用だけでなく、山登りなどの非常用装備の中にも入れてあります。どんな時も火が起こせる準備はしておきたいですね。
【GEAR No.12】サーマレスト/ネオエアー トポ
いつも砂のベッドに寝床を作れるわけではない。水辺のキャンプは石がゴロゴロしているところにテントを張ることも多いです。なるべく平らなところで寝たいと思っても、薄っぺらなマットでは石の凹凸はさすがに吸収はできないので、そんなテント場と予想するときは、厚いネオエアートポを持っていきます。この7.6㎝の厚さがあれば、下のボコボコも吸収してくれて、下に石コロがあることを忘れるくらい寝心地は抜群です。SUP旅は肉体的にはハードな遊びで寝心地は長旅であればあるほど食事より重要だと僕は思います。UL系のエアマットと違い、生地も厚めで擦れにも強そうで安心感があります。
また収納サイズ(23×14cm)が、このボリュームのマットでこれだけ小さくなるのは魅力です。
しかし、いつもビールと焚き火でマットにたどり着けずに朝になってしまうのが1番の問題です。
【GEAR No.13】サーマレスト/スペースカーボーイ7℃
水に濡れる可能性が高い遊びをするときは、素材が濡れても保温力を低下させず使える化繊系のシュラフを選んでますが、化繊シュラフのイメージはとにかく嵩張ること。その点、スペースカウボーイは同スペック帯のものに比べ収納サイズ(18×25cm)がとても小さくそのパッキングサイズが1番気に入ってます。やはり登山ほどシビアに軽量化は考えていませんが、小さいほどパッキングに余裕ができ、身軽に動けると思います。
スペックは7℃で海や低地のアウトドアなら3シーズン使えるので海遊びには十分です。背面にはストラップがあり、マットがずれないように固定でき、フラットでないキャンプ地ではマットからずり落ちず便利ですね。あとジャパンブランドでは馴染みがない、左ファスナー仕様です。初めは癖で右から開こうとしてましたが、すぐに慣れましたね。
【GEAR No.14】キャリーザサン/ミディアム ウォーム
この自然の光に近い、明るすぎない暖色系のやわらかい灯が気に入ってます。連泊のSUPツーリングでもSUPにくくりつけ、太陽にかざしておけば日中充電できるのです。日数が長ければ長いほど電池を気にせずに使えるので長旅では助かります。今のモデルはインジケーターがつき、バッテリーレベルを確認できるのもの安心です。しかし太陽がでず、雨の天気の場合は充電しないので注意!ヘッドランプ等の灯りは必ず予備で持っていったほうがよいですね。
普段でも車には常備し移動中に充電させ、車中泊でも大活躍です。夏のSUPから冬のスノーボードトリップまで、もうなくてはならないギアの一つになっています。
東村 茂さん(ひがしむら・しげる)
某大手アウトドア輸入代理店に十数年勤務ののち、長野県の山中に居を構え、大地を耕しながら自然に寄り添った暮らしを送る。シーカヤックで磨いたコーストトリップの技術をSUPに応用し、日本の海でSUPツーリングを楽しんでいる。