日本屈指のクライミングエリア、長野県小川山にやってきた山戸浩介さん、ユカさん夫妻。
八ヶ岳の麓で自然派食堂「DILL eat,life.」を営むふたりの趣味は、体を酷使するハードなアウトドアアクティビティー。
無雪期はクライミングやテント泊縦走、冬は山スキーに夢中だ。
全力で楽しんだ夜は、ユカさんがこしらえた丁寧でおいしい焚き火料理で、疲れた体をリカバリーし、心をリセット、次の日の活力へと変えていく。
今回は、自然を全力で楽しむ山戸夫妻が、クライミングキャンプで愛用するギアを紹介してくれた。
この記事は、全国のアウトドアショップの店頭にて無料配布中の、アウトドアギアスタイルブック「BACKCOUNTRY RESEARCH 2021」の連動記事です。
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山戸浩介さん・山戸ユカさん
8年前に東京から八ヶ岳の麓に移り住み、食堂「DILL eat,life.」を開店。20代の頃、ふたりで世界を旅しながら触れた食文化、経験を糧として、地元の生産者とお客さんを繋ぐ料理が人気を呼んでいる。
食べるだけでなく、彼らの思考やライフスタイルを感じられる空間として人が集う。2018年から友人と3人で手作りするトレイルフード「The Small Twist Trailfoods」を発表し、大手フリーズドライ一辺倒だった登山食に革命をもたらしている。
通販サイトはこちら。
https://smalltwist.theshop.jp
【GEAR No.1】MSR|エリクサー 3
クライミングなどのベースキャンプで3人用のエリクサー3を2人でゆったり使ってます。出入口が両サイドにあり、好きなタイミングで相方に気を遣わず出入りでき、その前室も広いのでクライミングギアなど荷物をゆったり置けます。テント内は前室まで張り出したリッジポールのおかげで、側壁はほぼ垂直に立ち上がり、天井も広く、着替えも楽々。
「外からじゃわからない。中に入ると、圧迫感を感じない。広いよね。」といつも思います。小物入れのメッシュポケットが色んなところにあるのも便利!テントの中は散らかります。そんなときに小物をポケットに仕舞えば、暗くなっても見つけやすく整理がつきます。
あと基本的なことですが、設営が簡単で立てやすく、風にも強いことがフィールドで長く安心して使えるテントの条件だと思ってます。
そして夜はテントのシルエットと光で浮き上がるMSRのロゴを眺めながら焚き火と料理を楽しみます。
【GEAR No.2】THERM-A-REST|リッジレスト ソーライト
「もうこのリッジレストは何代目だ」というくらいこのロールマットを愛用しています。寝るときはもちろんクライミングの岩場でのレスト、ギア置きなどにも使え、パンクを気にすることなくどこでも使えるマットがリッジレストです。フラットなロールマットに比べ、表面の凹凸があることで、クッション性があり寝心地をよくしていると思います。そして凸凹に空気を閉じ込めるので温かいんですね。
クライミングでは岩や石がゴロゴロしているところも多いので、休憩のことを考え日帰りでも必ず持っていきます。長さについてはレギュラーが183cmですが、自分の好みに合わせて切って使うこともあります。(切ったら元に戻せないので注意!)
【GEAR No.3】ICEMULE|プロクーラー
車から離れて歩いて荷物を運んでテントを張るようなキャンプでは、背負って運べるクーラーはとても便利です。食材や飲み物で重いクーラーは背負えることで安定し、両手も空くのでほかの荷物を同時に運べます。またソフト素材なので帰りには丸めて小さく畳め、ゴミなどを入れて持ち帰るときにも、ロールダウン式で密閉できるため匂いも抑えられます。こんな見た目はバックパックですが、機能は立派なクーラーです。保温力は24時間以上持ちます。(※氷と内容物が2:1の場合)その仕組みは、バルブから息を吹き込んで、空気の層をプラスで断熱材にするからなんです。
また空気を周りに入れることで、緩衝材の役目も果たしワインなどの瓶の運搬にも安心です。空気を吹き込めば吹き込むほど中のデッドスペースがなくなり、固定されガチャガチャ動かないんです。
こんな特徴があることから、実は普段の食材買い出しに重宝してます。エコバックのように使え、自転車でも背負えるからです。それが夏場なら食材を太陽から守り、このバックパックはクーラー機能があることにより更に価値が上がるんです。直接、保冷用の氷を入れても溶けだした水が漏れることもないので安心です。
今思えば自分たちの場合は普段使いの道具をアウトドアでも使っていることになりますね。
【GEAR No.4】MSR|ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム
日本発売を待ち焦がれていて、2020年春に発売したウィンドバーナーは自分のスタイルにハマりました。キャンプの夜はゆっくり食事をとりたいですが、朝や昼はなるべく早くパッキングし、移動したいからです。山の縦走なら次の幕営地へ天候を考えるとなるべく早く到着したいですし、クライミングならルート探しにと。とにかく早めに行動することは安全にも繋がり、時間を有意義に使えます。自分たちのリズムを考えると早く仕事をするバーナーの魅力に価値を感じます。このウィンドバーナーは、ほぼ風の影響を受けず、お湯を沸かせる、ロスが少ないからガスの使用量も計算できる、ポットの中に一式収まりコンパクトに持ち運べるなど、ハードに遊ぶユーザー向けのガスストーブです。
岩場では足元が斜めだったり、岩だったり、平らに置けないところでは、オプションのハンギングキットで吊るしても使えます。吊るして使えるのも男心をくすぐるポイントです。
このストーブはお湯を早く沸かすことに特化しているため、火力調整はできませんがミニマムなスタイルのときはほとんど自家製ドライフードでシンプルに調理するだけなので問題ありません。素早くお湯を作れればOK!水と材料を入れ、火にかけ沸騰したらすぐに火を止め、スプーンでかき混ぜて蓋をして待つだけです。シンプルだからこそ過酷な条件でも使える仕様のストーブなんでしょうね。そして赤いポットとガス缶がフィールドに映えます!
【GEAR No.5】MSR|ウィンドバーナーコーヒープレスキット 1.0L
山で、アウトドアアでおいしいコーヒーの淹れ方は好みがあると思いますが、僕はプレス式が好きでコーヒープレスを探していました。そこでウィンドバーナーにオプションであることを知って購入!
シャフトは2分割でき、メッシュはボールの中に納まり、バーナーシステムに全く違和感なしに収納されます。
もうこれで完璧です。コーヒープレスを面倒で選ばない人も多いと思いますが、「簡単で手間をかけず、美味しいコーヒーが飲める」という理由で僕は使っています。
というのは朝早く動きたいと思うと、このプレスする作業は面倒かもしれませんが、最速でウィンドバーナーでお湯を沸かす→ポットに挽いた豆
を入れる→テントの撤収や遊ぶ準備をしている間にコーヒーを蒸らす→プレスする→マグカップに注ぐ(保温ボトル)です。
淹れたあと豆の処理はありますが、最小限のゴミで済みます。
実際かかわっている時間は短く、朝急いでいるときでも自分好みのおいしいコーヒーを飲みたいので、プレスキットで淹れています。
【GEAR No.6】Platypus|デュオロックソフトボトル
アウトドアで遊ぶには水は大切です。熱中症対策では必ず行動中に水を飲まなければならないし、そして調理にも必要です。自分たちの遊びではできるだけ軽くコンパクトなものを選ぼうと思っているので、プラティパスのソフトボトルは最適です。
今使ってるモデルはカラビナ付きで持ちやすく、そのカラビナでバックパックに外付けしたり、キャンプサイトでは目立つように木に引っ掛けたりしてます。他のモデルと違いキャップがフリップキャップ式でなくす心配もなく、そして注ぎやすい口になってます。もちろん匂いがつきにくい素材のため、山登りの途中で汲んだ湧き水もそのまま美味しく飲むことができます。使わないときは丸めてコンパクトに収納できて嵩張らないので、いつもバックパックに忍ばせてあります。
【GEAR No.7】Natural Spirit|カラビナカップ
クライマーにとってはカラビナがカップと一体化になっている商品を目にして無視できないわけで、カラビナの本来の用途も知っているので見た目で購入した記憶があります。とはいえ、ステンレスの二重構造で暖かい飲み物も冷めにくく、機能面もしっかりしてます。カラビナがあることで、キャンプの物干しロープやバックパック、どこでも引っ掛けられるので何かと便利です。
【GEAR No.8】Platypus|プラティプリザーブ
テント泊や荷物を減らしたいときにワインを瓶のまま運ぶのは大変です。そんな時はこのプラティパスのプリザーブに詰め替えてワインを持ち出します。重量は24gで容器自体の重さはないようなものです。飲み切れば畳んで持ち運べるもGOOD!
ただ軽いだけでなく、空気を抜いてキャップを閉められることは、酸化防止剤をできる限り使用しないナチュラルワインを好む自分たちにとっては願ってもいない機能です。空気に触れれば触れるほど味は変化していきます。その変化を楽しむこともありますが、なるべく変化させず楽しむには、空気に触れさせてない方が良いのです。
瓶であれば飲み残したら、キャップやコルクをしても瓶の中で空気に触れてしまうので味は変わっていきます。その点、プリザーブはやわらかいソフトボトルなので空気を押し出し、ワインがあふれる寸前でキャップを閉めれば、ほぼ完全に空気を抜くことができます。空気に触れさせない状態をキープすることができるのです。この利点があるのでナチュラルワインをベストな状態で運ぶボトルと言えるわけです。このボトルはキャンプに限らず自宅やワインの量り売りでも便利だと思います。自然の中で飲むワインは最高です。
【GEAR No.9】outdoor element|ファイヤービナー
ライターの代わりに持っていたい着火ツールです。普通バーナーを点火するときにはライターが一般的ですが、いざ使いたいときに忘れてしまったりとか、ガスが少量で火がつきづらかったりとか、こんなトラブルは誰もが1度は経験しているんじゃないですか。このファイヤービナーはライターのように火花が散るファイヤーホイールという機能がカラビナに装備されていて、これが実に便利で簡単にガスバーナーの点火に使えます。着火機能の他にもラインカッターやマイナスドライバー、ボトルオープナーなどカラビナにさりげなく備わっています。カラビナ式なので、どこでも引っかけられるのも気に入ってます。
【GEAR No.10】UCO|スプラウト
テント内で使うにはちょうどよいサイズ感で、照度も無段階で調整ができ、明るすぎず暗すぎない好みのレベルに合わせることができます。マグネット式のストラップは吊り下げても簡単に外せるので、状況に合わせて使い分けできます。84gと軽量なのでヘッドランプの予備にもいいですね。
【GEAR No.11】THERM-A-REST|ハイペリオン-6℃
この仕様・価格でここまで軽量コンパクトモデルは貴重かもしれませんね。ただコンパクトだけではなく、ダウンは900フィルパワーに加え、撥水ダウンを使用していて濡れに強く乾きが早い特徴があるので、湿気や雨で濡らした場合でも安心感があります。通常ダウン素材は水濡れに弱く、保温力が低下しますからね。背面にマットレスを固定できるストラップもあり、その一工夫は常にマットレスのことを考えている老舗ブランドらしい視点ですね。感覚的には初冬まで使える3シーズンモデルのスリーピングバッグです。
【GEAR No.12】THERM-A-REST|エアヘッドピロー & コンプレッシブルピロー
エアヘッドピロー レギュラー
山で使いたい枕は、小さくなること、頭にしっくりくること、清潔に保てることが理由としてあります。収納サイズはΦ8×10cm、エアー量で好みの高さに調整でき、カバーは取り外して洗濯ができます。クライミングや山登りでいっぱい汗をかくので洗えるのはうれしいことです。肌触りがよいカバーなので、軽量といわれる枕に比べ158gと少し重いかもしれませんが、バランスが取れているので気に入ってます。
¥5,280(税込)
コンプレッシブルピロー ミディアム
車の近くでベースキャンプを張るときは、このキャンプ用の枕を使います。マットの製造時に出る切れ端を無駄にせず使用して作られていて、マットレスブランドならではの工夫だと思いますが、切れ端でできていると思えないほど、寝心地がよく、ソフトで気持ちよい枕です。丸めてラグビーボールのように収納でき、車での持ち運びなら十分に小さくなります。自宅の洗濯機で丸洗いできるのもGOODです。カラーバリエーションが多く、好みのデザインを選べるのは楽しいですし、このキノコ柄のデザインは1番気に入ってます。
¥3,520(税込)
【GEAR No.13】MSR|アルパインストアウェイポット
焚き火料理が好きでダッチオーブンもよく使いますが、シンプルに料理を楽しむときはこのクッカーを使ってます。一般的なクッカーと違いハンドルで蓋をロックでき、食材を持ち運んだり残った料理も保管できます。
ステンレス製のハンドルは燃える心配がなく、長めなので炎があがる焚き火料理では使いやすく持ちやすいと思います。このシリーズは4サイズあり、小さいサイズは食器としても、またお弁当箱としても使えますね。
【GEAR No.14】MSR|アルパインフライパン
このアルパインフライパンは、ステンレス製ですが一部アルミを底面に使って熱を均一に効率的に伝える機能があり、熱がムラなくまわりやすいので目玉焼きなどふっくら調理できます。ハンドルもステンレスで焚き火に入れても安心です。取り外せて、収納しやすいこととお手入れも楽で気に入ってます。
実はこのサイズ感でコンパクトなステンレス性のフライパンって探してみるとあんまりないんですよね。もっと料理にこだわるときは鉄製フライパンを使うようにしてます。重くてお手入れは少し面倒ですが焚き火では無敵です。
【GEAR No.15】Blender Bottle|GOSTAKスターターキット
わざわざキャンプ用で調味料を購入しても使い切る前に中身が湿気たりして使えなくなってしまうので、自宅で使っている調味料を小分けして必要な分だけGOSTAKに入れて持ってくようにしています。この容器は密閉性が高いので匂いが強いスパイス、ニンニク、またはソースやドレッシングなど液体も漏れません。とは言っても液体類は横にしたり逆さまにしないようにしています。しっかり蓋しないとじんわり漏れる場合があるので注意してください。そして容器と容器は縦に連結でき、少しの隙間に差し込めるので、収納しやすくまとめられます。キャンプだけでなく、普段から家庭でも使えますし、おやつや行動食を入れてもよしです。