マットレスでは創業から今年で50年の老舗ブランドが約10年前からスリーピングバッグを提案している。発売当初は日本でも販売していたが、お世辞でも日本人向けの仕様のモデルとは言えず、苦戦したことから日本での取り扱いを数年で終了した。
しかし、ここ数年前から日本の登山向けモデルとしておすすめできる仕様の「ハイペリオン」、極地仕様の「ポーラーレンジャー」が発売された。これを機に徐々にサーマレストのスリーピングバッグも日本でも認められてきた。
とは言ってもまだまだ知名度が低くく、マニアの間でしか知られていないTHERM-A-RESTのスリーピングバッグ。今回は春に新発売された特徴的なスリーピングバッグ「コーラス」を使ってみた。
目次
Toggleニュータイプの寝袋「コーラス」の登場
普通のマミータイプではなく、背中側がない掛布団タイプのスリーピングバッグ。
背中側がないと寒いというイメージは捨てきれないが、自宅の寝具と同じ考え方で敷布団(マットレス)とセット使う前提である。
ほとんどの人がアウトドアでもマットレスありきでスリーピングバッグを使う。それを思えば日常から見てもセットで使わなければならない縛りは特別なスタイルではない。キャンプ入門者が初めてマミータイプを使うときにワクワクもあるが、「これで自分は眠れるのだろうか?」というギャップを感じるのはむしろこっちのマミースタイルだ。
以上の説明から背中側がないことが日常的にはそれほど特別ではないことになる。
布団タイプのメリット
- 自宅の布団のように窮屈感がない。
- 暑いときはブランケットのように使える。
- 寝返りがうてる。
- 背中部がないことで軽量化できる。
デメリットとしては
- 密閉性が低く、頭部もないため厳冬期には向かない。
- 背中がないことで単体で使うときに、クッション性が全くない。
筆者は、登山、BCスノーボード、SUP、フライフィッシング、海外放浪旅など、オールシーズンでスリーピングバッグを使っている。またスリーピングバッグが大好きで、いろいろなメーカーさんのものを愛用してきた。
ナンガ、イスカ、モンベル、カリマー、マウンテンイクイプメントなど。持っているものは全てマミータイプ。マミータイプの良さを十分知っているうえで、「コーラス」がスリーシーズンで十分使えることがわかった。
コーラスはただの布団タイプではない特徴がある
- 足元が袋状になっている。
- シナジーリンクがある。(マットレスのズレ防止ベルト)
この2つの特徴が大きい。足元からの冷え込みがないことと、マットレスのシナジーリンク(ズレ防止ベルト)の効果で上半身の脇がフワフワせず、冷気の侵入を防いでいることだ。ほぼ隙間ができずマットレスと一体化していることにより暖かいのだ。そしてマットレスがズレないことは、少し傾斜があるテント場でもマットレスからズリ落ちないこともうれしい。
話しが少しそれるが、スリーピングバッグを活かすのはマットレスで、その季節に合わせたレベルのマットレスと組み合わせることが重要だ!
寒さに対応する場合、背中が寒ければどんなに暖かいスリーピングバッグを使ってても性能を発揮できない。むしろマットレスの断熱性を上げるだけで、スリーピングバッグを買い替えずに改善できる場合があるほどだ。スリーピングバッグの背面は実際の使用では自身の体重で潰れてしまい、冷気から身体を十分に守れない。そんな発想から「コーラス」は背面が無くてもマットレスの断熱性でカバーできると考えている。
それは50年の歴史をもつ老舗マットレスブランドの「THERM-A-REST」だからという自身の裏付けだ。
こんな時も快適
- 車中泊
- ハンモックキャンプ
- コットと合体
車中泊はテント泊に比べ、自分の家に近い守られた空間であり、そこではゆったり窮屈な環境でなく寝たいものだ。
窮屈なマミータイプより、リラックスできるブランケット的にも使えるタイプが快適。ハンモックではマットレスを入れた場合、不安定な状態がゆえに寝返りをうつとマットレスからスリーピングバッグが落ちて、元の状態に復帰しにくい。そんな時シナジーリンクは抜群な助けになる。
またコットとも相性が良い。固定でき、ズリ落ちず、快適なベッドのように使える。
一度、「コーラス」を使うとこの寝心地のルーズさがたまらない。スリーシーズンであれば十分に使えることもわかった。また中綿は撥水加工を施したダウンを使い水濡れに強く、乾きも早い特徴もある。他のスリーピングバッグと組み合わせて断熱性を追加するレイヤリングとしても使えるのも魅力だ!
こんな使い勝手いろいろなスリーピングバッグは、快適な休息を追求するTHERM-A-RESTらしさが出ている。