SUP FISHING & CAMP|釣りのロマンを求めて大海原を漕ぐ

福井を拠点に山を歩く山本 陸さんに案内され、

日本三霊山・白山の懐へ分け入った一泊二日。

山頂だけではない、白山の豊かさを味わう旅。

福島 格(ふくしま・いたる)

1982年生まれ。長野県野沢温泉出身、白馬村在住。SAJスノーボードデモンストレーターを経てガイドに。自身が主宰する「Mauka outdoor」にてバックカントリーガイドとSUPのガイドを務めるほか、家族とともに「ロッジやまじう」を運営。オンオフを問わず白馬のアウトドアライフを満喫している。

文・奥田祐也 写真・山本 智/二見翔太

「白馬村に来てすぐの頃は、海に手を出すのはやめておこうと思ってたんですよ」

 インフレータブルSUPを掴んで海から上がってきた福島格は、「現にこうなってるでしょ?」と言わんばかりに笑みを浮かべて、この日の釣果を見せてくれた。ストリンガーに掛けられていたのは40cmはあるサバと真鯛、ワカシ。「中層に大量のイナダが小魚を追い回しているのはわかってたんですが、ジグには反応を見せなかったですね」と悔しさを滲ませるも、いつもうまくいくとは限らないからやめられないんですと、福島の表情は晴れやかだった。

 野沢温泉で生まれ育ち、幼少の頃から釣りを通じて自然と触れ合ってきた福島は、現在白馬村でロッジの運営とアウトドアガイドを務める傍ら、プライベートでも釣りと狩猟をしにフィールドに通う筋金入りのアウトドアマン。近所の湖にSUPを浮かべてトラウトフィッシングを楽しんでいるうちに、次第に釣りのロマンに導かれて海釣りに傾倒していく。

「ここらはブリも回遊してます。ブリなんて90㎝にもなるからSUPごと引っ張られるんです。引っ張られながら疲れさせてリールを巻いていく。『どこまででも付き合うから釣らせてくれー!』って、そんな状況になるのをいつも夢見て釣りに来てます(笑)。陸釣りや船では味わえないSUPならではの醍醐味かもしれませんね」

 波の状態にもよるが、本来遊漁船じゃないと行けないポイントまでも手軽に出られるのもSUPの大きな利点。福島はシングルパドルを操りながら、もう片方の手で器用にロッドを構える。一般的なSUPフィッシングは据え付けたクーラーボックスに座って安定した状態で釣るイメージだったが、福島の場合は海のコンディションが不安定なとき以外はSUP本来の姿勢である立った状態にこだわりたいと言う。

「自分のスキルも常に上げていかなければお客さんを案内できませんし、お金をいただく以上はフィールドでの“遊び方”を熟知してないと恥ずかしいので」と、いかにもSUPを生業にするガイドらしく、遊びも仕事のスキルアップに役立てていた。

 海から上がると、野営の準備に取り掛かる。拾い集めた流木でドロムライトのウォータースタンドを作り、あとは焚き火調理用の薪に。その場にあるものを活用するのはガイドである福島にとってお手の物だ。

 福島がSUPを始めたのは、群馬のみなかみ町でラフティングガイドの仕事をしていたときのこと。SUPといえばまだハードボードしかない時代。先輩が海外から持ち帰った空気で膨らますSUPは初めて目にする代物だったが、乗ってみてすぐに「求めていたのはこれだ!」と衝撃が走ったという。スノーボードのバランス感覚とラフティングのパドルを漕ぐ技術、これまで培ってきたものが活かせるという点でまさに自分に打ってつけのスポーツだと直感し、SUPガイドを始めた。そして去年、福島はさらに自分の強みを活かすべくSUPフィッシングインストラクターの資格も取得した。

 この日、釣った3匹は刺身と塩焼き、鯛めしとあら汁という豪勢なディナーに姿を変えた。海釣りは魚を美味しく食べるまでがセット。美味しい状態を保つために、釣ったら速やかに血抜きして、魚種ごとに適切な処理を施す福島の手際は見事だった。

「オフの日にこうして海に来るのは、子どもたちに美味しい魚を食べさせたいという思いもあるんです。よく舌が覚えてるって言いますよね。僕は内陸で育ったので、大人になるまで新鮮なアジフライを食べたことがなかったんです。それもあって、刺身でも美味しく食べられる30㎝ほどのアジを釣って帰り、子どもたちにアジフライを作ったことがあります。それ以来、『またアジフライ食べたい』と言われるようになって。その言葉を聞くたびに、嬉しくなります。これこそ食育であり、狩猟にも通じる大切な体験だと思います」

拾った流木を組んで、4ℓのドロムライトと照明(スプラウト+)をぶら下げる

 炭火で焼いたサバを福島は美味しそうに頬張りながら、なんだか朝から釣りの話しかしていませんねと笑う。自分の「好き」を追求することが、結果的に仕事にも子育てにも生きてくる。ガイドという仕事の、ひとつの理想形が垣間見えた気がした。

Trekking

GEAR SELECT

環境にやさしい 端材で作ったエコバッグ

ハンモックの端材で作ったTicket to the Moonのショルダータイプのエコバッグ。軽くて丈夫なうえ、手のひらサイズに収納できる、日常から旅先まで幅広く使える

TICKET TO THE MOON/エコバッグ L
サイズL=46×48×6㎝、30ℓ

好みの硬さに調整できるアウトドアピロー

マットレス製造時に出るフォームの切れ端を再利用したピロー。ドローコードを絞ることで中綿(ウレタンフォーム/ポリエステル)の密度を調整でき、野外でも快眠へと誘う

サーマレスト/コンプレッシブルピローシンチR
重量295g
サイズ30×15×11㎝(収納時)

持ち運びや吊るすのに便利なウォーターバッグ

丈夫で柔らかくしなやかなウォーターバッグ。持ち運びや吊るすのに便利なハンドルや注ぎやすいキャップ付きで、キャップのサイズまでたたんでコンパクトに収納が可能

MSR/ドロムライトバッグ4ℓ
最小重量145g
容量4ℓ

耐久性と保温性に優れた 軽量スリーピングパッド

耐久性のあるクローズドセルフォーム材質の折りたたみマット。特徴的なエッグクレート構造とサーマキャプチャーテクノロジーは、地面の不快な感触や寒さを軽減してくれる

サーマレスト/Zライトソル R
重量410g
使用サイズ51×183㎝

コスト・重量・居住性 バランスのいい天幕

前後に広い前室を備えた2人用テント。2本のポールを交差させ、天井部に短いリッジポールを追加することで箱型に近い空間をつくり、快適な居住性を実現

MSR/エリクサー2
総重量2,820g
定員2人

厚さ3.5㎝にたためる ステンレス焚き火台

わずか30秒で組み立てられるコンパクトな焚き火台は焼き台として使え、熱を逃がさず効率的に調理が可能。パックの隙間に挿入して軽快に持ち運べ、どこでも焚き火を楽しめる

UCO/フラットパックグリルM
重量1.75kg
サイズ37.5×27×3.5㎝(収納時)

キッチンでの切れ味を キャンプでもそのままに

快適な操作性と抜群の切れ味を両立したキャンプナイフ。軽量で耐熱性に優れたポリプロピレン製のシースがブレードを保護し、ハンドル後部にはランヤードホールを搭載する

UCO/キャンプシェフズナイフ
重量162g
サイズ297㎜

メンテナンスフリーのステンレス製鍋セット

蓋がお皿にもなる2Lと1.5Lのポットセット。炊飯から煮込みまで、2〜3人での調理に最適。丈夫で錆びにくいステンレス製なので熱源を選ばず、ハードに長く使える

MSR/アルパイン 2ポットセット
重量604g
サイズ20.3×11.4㎝(収納時)

ポンチョとブランケット 一品二役の防寒グッズ

大きなカンガルーポケットとフード付きのポンチョに早変わりするブランケット。軽量で濡れに強く、収納性に優れるエラロフトを中綿に採用し、水辺でのキャンプにも最適

サーマレスト/ホンチョポンチョ
重量690g
サイズ200×142㎝

携行性・吸水性・速乾性 3拍子揃った屋外用タオル

高性能タオルPackTowlとアーティストのKristina Wayte Bakkeの作品がコラボ。プレミアム品質の50%リサイクルマイクロファイバーで作られ、自重の4倍の水を吸収する

パックタオル/パーソナルBODY デイドリーム
重量181g
サイズ64×137㎝
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奥田祐也

フリーランス編集&ライター / 東京⇄北海道の2拠点生活/ 東神楽町で古民家をセルフリノベ中/ 担当書籍: 雑誌Coyote(2017-23)/ BEYOND WORKING BOOK/ 『ミルクの中のイワナ』filmbook/ 駒沢敏器『とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』

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