WHY MSR ?
ひと冬で100日以上も雪山へ入り込んでいる中井さん。深い雪から風に叩かれたハードバーンまでMSRスノーシューとポールを使用してハイクをしているそうだが、数あるスノーシューの中からなぜMSRを選択しているのだろうか。
「スノーシュー = MSRだと思っています」
── 人生初のスノーシューにMSRを選んだそうですが、それはなぜですか?
20歳頃でしたね。理由は周りの先輩や仲間が全員MSRを使用していたから、という単純な理由です。北海道にある登山とアウトドアの専門店「秀岳荘」に行ってもしっかり置かれているし、「スノーシュー = MSR」で間違いない、と思っていたのが正直なところです(笑)。
── 実際に使用してみたMSRスノーシューはどうでしたか?
他ブランドを使用したことがないので比べることは難しいんですけど、硬いところを直登する時や、トラバースするシチュエーションでかなり助けられていると感じています。「ライトニングアッセント」を使用していない周りの人がアイゼンに履き替えるようなところでも、僕はそのままで大体行けてますから。
── 昨シーズンにアップデートされたパラゴンバインディングの使用感はどうですか?
とにかく脱ぎ履きの時間が短縮されたことが一番の違いです。山の上では時に過酷な状況もあるので、この時間の短縮って部分は使っていてかなり大きなメリットだと感じてます。あと、メッシュで足の甲が全面覆われているから、以前より圧迫感がなくて楽です。
── 先シーズンも毎日のように雪山へ入っていたんですか?
そうですね。11月から自粛期間になるまでほぼ休みなく滑ってました。もちろんスキー場にも行ってますけど、ほとんどが山の中での撮影でしたね。
── 新しいスポットでの撮影もできましたか?
これまでもよく撮影をしていた北海道の北部で、地形図を頼りに新しい斜面や沢で撮影することができましたね。急斜面を直登しながら( 笑)。その奥に見えていたアルパインエリアにも行けたし、利尻も思い出深いです。あとは富良野岳の裏側というか東斜面も初めて滑れたり、そこも良かったですね。ずっと気になっていたスポットだったんで。
── パラゴンバインディングをハードに使われていますが、丸々2シーズンが経過して、新たな気づきなどはありましたか?
最初は甲部分のベルトをキッチリ締めていたんですけど、一度脱いで、再びブーツを入れる時に少しタイトさを感じることもあったんで、ベルトの穴ひとつ分くらい、ブーツが楽に入るくらい緩めに設定するようになりました。もちろん硬いところをトラバースするならしっかり締めた方がいいんですけど、パウダーを歩くことの方が多かったのでそのスタイルに定着しましたね。もちろん使用時のフィット感は問題なかったです。それとバインディングのメッシュ素材はタフですね。2シーズン使い倒してもまったく破損する気配がないです。
── スノーシューと同様にポールも使用されていますね。
数年前にリリースされた「エクスプローラー」をずっと使っています。フリップロックのダイヤルはグローブしたままでも簡単に調整できるんで、バックカントリ-で重宝してます。
── なぜ折りたたみ式の「アッセント」ではなく3節の「エクスプローラー」を選択しているのですか?
実はこれまで一度も折りたたみ式のポールを使用したことがないんです(笑)。理由はただそれだけで、食わず嫌いみたいな感じかもしれないです。軽くて収納サイズも小さくなるからそれは魅力に感じているんですけど、なぜか3節のモデルの方が安心感があるんですよね。オートマ車よりミッション車が好き、みたいな感じですかね。アナログな方がしっくり来ています。
中井孝治(なかい たかはる) :
1984年北海道倶知安町生まれ。11歳でスノーボードを始め、ソルトレイク、トリノと2度の冬季オリンピックに出場。その後、地元の北海道やカナダでバックカントリーの魅力にハマり、ニュージーランドやチリ、アラスカにも足を運んできた。昨秋にリリースした自身のスノーボードムービー『PURE JAM』の続編制作のため、冬のあいだの大半を深い山の中での撮影に費やしている。