「雪山滑走」とひと言で表しても、人それぞれの向き合い方や楽しみ方がある。「流派」が違うのだ。山奥でその流派の違いを痛感することになった、スノーボードフォトグラファーの体験談。

文・写真 / 原田 岳

先行者のクライムダウンのトラックがあるが、目の前には最高の予感がする尾根筋がある。その突起までラインを取り、沢筋に板を落とし込んで橋本は消えていった。空には少し雲がひろがり、その雲の中に巻機山、奥には谷川岳の山並みまでが見えていた。

撮影の準備をしていると、僕らの滑る斜面よりもずっとレフト側に、ロックバンド直下へ向かって急斜面をクライムダウンしているツボ足の跡を発見した。おそらくロックバンドの基部を巻き、引き返した場所を超え、僕らが目指してたいドロップポイントの方面へ向かったのだろう。迷いなくその足跡はつづいていた。

「目的地は一緒だろうから、このトラックを追いかければ、少しは楽に……」

いやいや、そんな思考は危ない。先行者のラインは八海山における冬山縦走のルート。となれば、僕らとは装備が違うはずだ。装備が違えばアプローチも違うということを忘れちゃいけない。

僕らは、この日狙っていた斜面を見つけてしまった日からずっと、“最幸”のライディングをするためにスノーシューとポールだけでどうアプローチし、どのように安全に滑り降りるかを考えてきた。そのための理想的な装備とルートもプランしてきている。だからもともとクライムダウンするという発想はない。

山や滑走に対するスタイルの違いとでもいうのか、そこにははっきりとしたマウンテニアリングとスノーボーディングの境界線があるということを、足跡を発見した時に改めて学んだ。

これは雪山における多様性であって、どちらが正しいということではない。ただ、この日はすべてにおいて先行されていた。最終出口のルートまで、ずっと近くにトラックが見え隠れするという状況だ。

吉田は終始そのトラックを見つづけながら、マウンテニアリングへのリスペクトと共に、嫉妬心にも似た感情を抱いたのだろう。どこか腑に落ちないとでもいうのか、悔しいというのか、煮え切らない表情は翌日まで消えることがなかった。

時間的猶予からハイクバックは途中までとなった。それならばと、まだ見たことのない気になるポイントを探りながらの帰路を楽しむことに。本来目的としていたドロップポイントまでは登り切れなかったが、下部にはこんな最高な斜面が広がっていた。吉田は、時間のわりにまだ走る南向きの雪と斜面を楽しんだ。
さらに下部まで降りると、ブナやカンバの広葉樹の森が広がっていた。東向きで谷が深く、陽もあまり当たらずこの日最高のコンディションに出会えた。森へ適度な光が射し込み、しま模様の雪面が広がる。先に下って撮影ポイントを探していた僕は、この橋本のテールライディングがふと脳裏に浮かんでいた。

ちなみにボトムまでの滑走を終えて麓でゆっくりしていると、集落のおじさんが夕陽を撮影するために訪れ、僕らに向かってこう言った。

「あんたたちかー、南面の岩の下滑ったの。すげー横切ってたなー」

双眼鏡を首からぶら下げたそのおじさんは、嬉しそうに会話を続けた。

「たまにこっち側へ滑り降りてくる人いるけど、あそこ横切ったのは、あんたたちが初めてだ」

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By 原田岳

ルーツは東京下町戸越エリアの写心家。現在は長野北信をベースに日本国内を愛犬のホワイトシェパード“ シャカ” と共に東弄西走し写心活動を続ける人見知りで利き目は左のフォトグラファー。作品集に『Make Peace Lab.』がある。