ここ10年で著しく進んだキャンプ道具の軽量化によって自転車旅のスタイルも変わってきた。
仰々しいキャリアはなくなり、自転車フレームにそのままスマートなパックを装着する。
そんな軽快な自転車旅スタイルをバイクパッキングと呼ぶ。
自転車で世界一周159か国を回った 小口良平 さんは、長野県辰野町に移住し、バイクパッキングを取り入れた自転車での町おこしを進めている。
結婚し、一児の父になったいまも、ときどきひとりで自転車旅へ出かけている。
今回は、そんな 小口良平 さんにバイクパッキングで使用するギアについて紹介してもらった。
この記事は、全国のアウトドアショップの店頭にて無料配布中の、アウトドアギアスタイルブック「BACKCOUNTRY RESEARCH 2021」の連動記事です。
目次
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小口良平 長野県岡谷市出身。約8年半かけて世界自転車一周を終え、現在は講演会やメディア出演のほか、サイクルアドバイザーとして活躍中。旅の途中から、MSRギアのサポート受け、テント、ガソリンストーブを使いこなし、世界中でキャンプを楽しんだ日本男児!
現在、信州辰野町でgrav bicycleを運営し、自転車文化を広める活動を行っている。
正解を股にかけたバイクパッカーの主催する、バイクパッキングスクールも開催予定。
【GEAR No.1】MSR|フロントレンジ
世界一周の旅で僕はMSRのテントにサポートされてきました。設営も簡単で耐久性も居住性もあり約8年間僕の快適な家でした。しかし、今思えば自分だけ快適で、大事な相棒になる自転車はいつも外で太陽と雨にさらされていました。このフロアレスのシェルターは相棒と一緒に寝ることができます。雨でもシェルターの下(入口開けて)で調理もできますし、コットを入れて寝ることも。
シェルターを贅沢に1人で使うスタイルです。4人用ですが、740g(ポールなし)と軽く、小さくなるので、コットという贅沢な装備も追加してもありかなと思いました。世界旅では考えられない装備ですが、数日のバイクパッキングなら快適さを重視しても良さそうですね。設営も簡単で4隅をペグダウンしてポール1本を立ち上げるだけ。夏場の虫対策は、専用のバグシェルターもオプションであるようですが、フロアレスの使い方ができなくなり、自転車も中に仕舞えないので、簡単な蚊帳でも持っていけば大丈夫だと思ってます。新たなバイク&キャンプのスタイルを模索中です!
【GEAR No.2】THERM-A-REST|ウルトラライトコット
自転車旅は都会から山からどこでも走ることが楽しいんですが、その中で峠越えというミッションを自分なりのルールを作って走る楽しみがあります。1度もペダルから足を離さず、地面に足を付けず峠を超えることなど、ほとんどMなことが多く、本人しか理解不能なルールしかありません。そんなことをやっているので、キャンプ地に着いたらくたくたで、そんな疲れたときのコットは最高です。ごろんと横になると、気持ちよくて寝てしまいます。マットと違い浮いている状態は夏場であれば涼しく快適でハンモックに似たような気持ち良さを感じます。寒い季節はZライトなどマットを1枚敷いて使えば寒くありません。また地面が凸凹でも、雨で濡れていても影響を受けないのもGOOD!。組立には少し手間がかかりますが、この快適さを味わってしまうこの手間も惜しみません。
【GEAR No.3】UCO|フラットパックグリル S
自転車でも持っていけるサイズの焚き火台ですね。フラットに畳めるというところが、パッキングしやすいと思います。海外では直火で焚き火をすることがありましたが、日本では焚き火台を使わなければ焚き火ができないキャンプ場が多いので、持っていけるなら持っていきたいギアの一つです。焚き火の良さは暖をとれること、調理ができること、そして眺めることで癒されます。また、焚き火料理ならストーブの燃料の節約にもなるもGOODです。組立は30秒!開くだけです。初心者でも簡単です。火をおこして焚き火をすることは防災でも役に立つノウハウと最近思いました。楽しんで学ぶというのは、こんなことですかね?
【GEAR No.4】UCO|スプラウト+
吊るして、置いても使える充電タイプのLEDランタンです。使う頻度が多い自分には毎回満タンにして持ち運べることがいいですね。そして単4電池でも使え充電ができない環境でも安心です。
ストラップがマグネット式で引っ張れば簡単に外せるので、置いて使うときやテントから出るときにさっと持ち出せます。手のひらに収まるサイズ感も気に入ってます。
【GEAR No.5】SEALLINE|バハドライバッグ
自転車旅の防水バッグは耐久性を重視で考えたいです。旅で色々なものを使ってきましたが、このブランドはその一つです。自転車旅は雨がつきもので、衣類やキャンプ道具は濡らしたくないですよね。埃や泥はねで、走れば走るほど汚れます。丈夫であれば気にせず水をかけて洗えます。林道を走っていると木や枝が当たることもよくありますし、自転車が転んだりした場合は、バッグは地面に擦れ、薄い生地のものは破れてしまうのでバッグは丈夫なものが必要です。カラーは渋いブラックやグリーン系を選びましたが、安全面を考えるとイエローやレッドなどがいいと思います。明るいカラーはドライバーさんに目立つので、その視点でもカラー選ぶ参考にして欲しいと思います。シールラインのようにここまで防水にこだわったブランドはないと思うので、今後自転車専用の防水バッグが発売されることを期待します。
【GEAR No.6】MSR|ドラゴンフライ
世界一周の旅で僕の胃袋を満たしてくれた1番信頼できるガソリンストーブです。パーツさえあれば自分で修理メンテナンスができるので、長期旅行ではこのストーブしか考えられません。燃料を選ばないというのもポイントが高くガソリン、灯油、ディーゼルなどなんでも使えて、コストも抑えられます。寒さに強く、火力調整がとろ火までできるところも最高です。おかげでお米は何百回炊いたかわかりません。1、2泊のキャンプならコンパクトなガスストーブでも全く問題ないのですが、このゴーって響く、燃焼音がたまらなく好きで今回も持ってきました。この燃焼音がうるさいと言う人もいますが、海外でキャンプしているとこの轟音がさみしさを書き消してくれていました。
【GEAR No.7】MSR|セラミックソロポット
このクッカーはセラミックコーティングがされていて、焦げ付きにくいので調理しやすいと思います。お米を炊いてお焦げをわざと作っても、お焦げは簡単に剥がれるのでコーティングの良さがわかります。1.3L鍋で「きのこの炊き込みご飯」を作りました。お米は1.5合より少し多めです。具もたっぷり入っています。
ゆで汁を捨てる湯切りの穴があります。穴があっても、お米は普通に炊けますが、何か工夫して穴を塞げばもっと美味しく炊けるとは思います。折り畳み式のハンドルは蓋をロックすることができるので、スタッキングしてバラバラになりません。自分は料理も楽しむのでこのくらいの容量が大きすぎず、小さすぎないサイズかなと。きのこの炊き込みご飯、美味しかったです。
【GEAR No.8】MSR|ネスティングボウル
何でも使えるボウルです。セラミックソロポットの中に仕舞えるので、そのちょうど良いサイズ感が気に入ってます。食器として使ってますが、ステンレス製で火にもかけれます。クッカーが料理で使えないときは、お湯を沸かしたりもしてます。
【GEAR No.9】MSR|アルパイン ソルト&ペッパー シェイカー
ウルトラライトキッチンセットにも入ってるスパイス入れです。口が両側にあり、2種類の調味料を保管できます。ソロなら塩、コショウがあれば料理の味付けはなんとかなりますよね。小さな口ですがしっかりゴムパッキンもあり、湿気にやられることがない機能面も見逃せません。
【GEAR No.10】MSR|ウルトラライトキッチンセット
ソロキャンプで必要な最低限の調理道具が入ってます。大きすぎない、赤いまな板、お汁用のお玉、スパイス入れなどのセットで、これをベースに必要な道具を追加して持って行けば完璧です。最近、衛生的にもまな板は必須だと以前より感じています。クッカーの蓋や硬いところに当てたり、またはまな板を使用しないでリンゴなど食材を切っていましたが、結果ナイフの刃を痛めてたり、指を切ったり良いことがないなと気づきました。まな板はお皿や蓋、火おこしのうちわにもなる万能ツールでした。
【GEAR No.11】UCO|ストームプルーフマッチ
どんな悪天候でも火を点けることができるこのマッチは非常用としても装備に入れています。水の中に入れても、砂に埋めても、雪の中に突っ込んでも15秒燃え続けるという魔法のマッチです。信じられないですが消えません。これほど頼もしいマッチはないんじゃないですか?ちょっと風が強くて着火に苦戦するときは最終手段で使います。