キャンプをするときに必ず必要なものはいくつかありますが、その中の一つはマットレスになると思います。
ベッドや畳の無いキャンプで快適に眠るにはマットレスが必須となります。
そして、キャンプでより快適な眠りを得るには、マット厚さや素材、インフレータブルやセルフインフレータブルなどの種類を状況に合わせてマットを選ぶ必要があります。
特に、季節による変化に対応するには、マットの持つ断熱性が重要になります。寒い冬のキャンプでは断熱性が重要となるでしょう。
そのマットの断熱性を分かりやすく表す数値をR値といいます。
今回はそのR値について迫りたいと思います。
目次
ToggleこれまでR値には規格がなかった!?
先程説明した通り、マットを断熱性で選ぶのならR値を見れば一目瞭然です。
夏のキャンプにはR値の低いマットを選べばいいですし、冬のキャンプではR値の高いマットを選べばいいです。
が、しかし!
このR値、各社が独自の方式で計算したR値を計算していました。
例えば、同じR値4.0のマットレスでも、A社では約0℃まで、B社では約-10℃まで快適に使えると言う性能の差が出てしまうことがありました。
同じブランドのマットしか使わないのであれば、これは全く問題はありません。
しかし、違うメーカーのマットも使ってみたいと思ったときに大きな問題が発生します。
前提として、体感温度は人によって個人差が激しいので、どのR値がどの温度帯で使えるかは自分以外には評価できません。
ただ、一回使用すればこのR値ならこの温度で快適に使える。というノウハウを得ることが出来ます。
本来はこのノウハウを使って、マットを比較することが出来ます。
しかし、従来のR値だと問題がありました。
例えば、B社のR値4.0マットを使っていたとします。
次はA社のマットレスでよりR値の高いマットにグレードアップしたいと思い、R値を参考に厳冬期に使用するためA社のR値5.0のマットを購入しました。
でも、使ってみると、これまで使っていたB社のマットと体感が同じなのです。
それもそのはず、計測方法が異なるので、A社でR値5のマットは、B社のR値4のマットと性能が同じだったのです。
より良いマットを買い足したつもりが、実際は同じ性能のマットだった・・・。そんな信じられない事が起こっていた可能性があるのです。
逆の場合も、夏用がほしいのに冬用だったら困りますよね?
この例えは、分かりやすく大げさに表現しましたが、似たようなことが実際に起っていました。
欲しい物を正確に買うことが出来ないと言うのは重大な問題です。
アメリカではサーマレストを始めとする複数のマットレスメーカーは、この現状を打開しなければならないと立ち上がり統一規格の制定をすることに決めました。
アメリカでは、2020年以降この国際規格ASTMに則ったR値の表記がない場合は販売ができなくなりました。
ASTM規格のR値の登場
ASTMとは
ASTMインターナショナル (ASTM International) は、世界最大・民間・非営利の国際標準化・規格設定機関。工業規格のASTM規格を設定・発行している。
出典:Wikipediaより
JIS規格やISO規格、EN規格と同様の国際標準化・規格設定機関で、アメリカにある世界最大規模の規格を制定する機関です。
今回、そのASTMでマットレスのR値の計測方法が規格化されました。
ASTMのR値で比較しよう
現在、アメリカで商品を販売するメーカーはこのASTMのR値を表記しています。
規格に則った計測方法を使うことで、それぞれのメーカーでR値の基準が同じになり、R値を正しく比較することができるようになりました。
ただし、現在日本ではASTMのR値を表記する義務はありません。
もし、R値を基準に商品を比較したい場合は、必ず比較する商品がASTMの規格で計測されている事を確認しましょう。