冒険のための装備|バイクパッキング入門ガイド

自転車ツーリングの歴史は長いですが、バイクパッキングは比較的新しい概念です。少なくとも定義上ではそうです。この二つの違いを見分けることは、最初は少し難しいかもしれません。どちらも複数日間の冒険に自転車を使うという基本的な共通点がありますが、バイクパッキングは、最新のミニマリストギアを使って、ラックやトレーラーなしで自転車自体に全ての荷物を積む、より冒険的で自給自足的な楽しみと一般的に認識されています。

「バイクパッキングは基本的に、ミニマリズムを強調しながら、グラベルロード、ダートトラック、トレイルを自律的に走り、広大な自然を横断することです」と、この分野での権威と言えるピエール・ブシャール氏は語ります。彼はパートナーのジャニック・ルミュー氏と共に、1990年以降、人生の大半を世界中を自転車で走り回ることに費やし、累計で10万マイル以上の距離を走破し、全てのギアを持ち運んできました。

ブシャール氏はさらに、「また、より幅広いリムと大きなタイヤを備えた頑丈な自転車を使用することが推奨されます。これにより、より安全で快適に、そして確実に、これらの人里離れた貴重なトラックへのアクセスが可能になります。それらは時に、自分の家のすぐ裏庭に隠れていることもあります」と付け加えています。

20人のサイクリストに聞けば、バイクツーリングとバイクパッキングの違いについて20通りの答えが返ってくるかもしれません。実際、ピエール氏自身も多くの冒険で両スタイルを取り入れていると認めています。しかし、二つの分類を「オーバーランディング」(遠隔地のアフリカの砂漠をランドローバーで走破するようなイメージ)と「ロードトリッピング」(キャリアを積んだカローラで国道を使って日本横断をするイメージ)として捉えるとわかりやすいかもしれません。どちらも長期間にわたり多くの距離を走りますが、一方は非常に特化した車両と専用ギアを備え、全く異なるレベルのコミットメントを要求されます。

海外でサイクリングする必要はありません。スタイルこそがバイクパッキングの全てです。

バイクパッキング初心者のための必須ギア

サイクリストは、ロードバイクのビルドからグラム単位で軽量化を図ることで有名ですが、バイクパッキング用の自転車についても同様に考えるべきです。ただし、異なる次元で考える必要があります。自転車がすべての荷物を運ぶため、重量が大幅に増え、ペダルをこぐのが難しくなります。これは、登り坂だけでなく、どこでも同じです。さらに、荷物がフレームから少しでもはみ出すたびに、自転車の操作が難しくなります。そのため、バイクパッキングでは、持っていく荷物の重さとその持ち方が、成功か失敗かを左右する重要な決断となります。美学を大切にするなら、すべてを自転車に収める必要があります。大きなサイドバッグはトレイルで役に立ちません。重量とスペースの両方の観点から、バイクパッキングではツーリングと比較して持ち物に厳しい制限が課せられます。

バイクパッキングでは時に「担ぎ」が必要な場面も

自転車

まず最初に、使用する自転車を選ぶ必要がありますが、それは主に走る予定の地形によって決まります。ハードテイルやフルサスペンションのマウンテンバイク、グラベルバイク、あるいは地形に最適化するために特別に組み上げたチタンや竹のフランケンバイクを選ぶかもしれません。重要なのは、フレームがその地形に適したタイヤの太さに対応できること、そしてギアがその仕事をこなせることです(ローギアはあなたの味方です)。特に荷物を積んだ自転車では、スムーズな乗り心地の価値を過小評価してはいけません。

シングルトラックやグラベルに対応した自転車が必要

積載容量

次に決めるのは、ギアを最も効率的に運ぶために自転車をどのように装備するかです。
バイクパッキングでは、一般的にハンドルバーバッグ、シートパック、フレームバッグの組み合わせが基本です。それぞれのサイズは多岐にわたります。理想的には、フレームバッグが自転車に合わせてカスタムサイズになっており、最大容量を確保し、トレイルでの安定性を最適にするためにしっかりとフィットすることが重要です。

すべてのバッグに投資する価値があるかどうか不安ですか?
初めてのトリップでは、ドライバッグをスキーストラップなどでハンドルバーに固定することで、費用を抑えることもできます。

自転車のハンドルやフレームにバッグを固定するのが基本

持ち物

ULの考え方は、バイクパッキングにも当てはまります。できるだけ軽量なものを選び、必要なものを減らすことがポイントです。「必要」と考えるものを見直し、一つで複数の役割を果たす多機能なギアを選びましょう。たとえば、超軽量のダウン寝袋を選んでコンパクトに収納し、食事はマイクロストーブで調理できるものに限定し、食べ物や飲み物を一つの容器で済ませるなどです。同様に、衣類も、レインコートとウィンドシェルを別々に持つのではなく、超軽量のレインコートを選ぶとよいでしょう。この「多機能」の視点でギアを精査し、最も軽量でコンパクトに収納できるものを選べば、より楽しいライドが待っています。

必要なもの以外を削ぎ落とし、合理性を考えるのも楽しみの一つ

最後に、バックパックを背負ってのライドは一般的に推奨されず、あまり快適でもありませんが、軽量なハイドレーションパックは大量の水といくつかの追加のアイテムを運ぶための最適な方法です。フォークやダウンチューブ(汚れるけど・・・)、フレームに取り付けるオプションもあります。幸いにも、あなたの旅が頻繁に水源を通るルートであれば、ボトルなどに簡単に補充できるため、一日を通して自転車の重量を減らすことができます。

シェルターの選択

バイクパッキング中に寝る場所を選ぶことは重要な決断であり、この一つのアイテムが全体の重量のかなりの部分を占めることがあります。

天気が良く、短い旅行であれば、屋外で寝て、緊急用のビビィサックだけを持って行くという選択肢もあります。これにより、シェルターの重量を数オンスに抑えることができます。しかし、バイクパッキングに固有の自給自足と遠隔地という特性を考えると、より信頼性の高いものが必要になるでしょう。

その基本としては、タープシェルターがあります。これらは、最も基本的なデザインから、もう少ししっかりとした、それでも超軽量なデザインまでさまざまで、自転車をタープの中に入れることもできます。虫が気になる場合は、タープの下にバグシェルターを追加したり、従来のダブルウォールテントの贅沢さを選んで、完全な保護と快適さを得ることもできます。

これは最もかさばる選択肢ですが、パッキングサイズを確認して、スペースがあるか確認してください。ポールの節がバッグに収まるものや、ハンドルバーバッグとして持ち運べるものを探しましょう。グループでのライドでは、コンポーネントを分けてほぼすべての選択肢に対応できます。テントが軽すぎることに文句を言うことはないので、何を選ぶにしてもできるだけ軽いものを選びましょう。

ハンドルバーバッグタイプの収納袋を標準装備したハバハババイクパック

初めてのバイクパッキング旅行の計画

サイクリングやバックパッキングに慣れているなら、バイクパッキングの多くは直感的に理解できるでしょう。しかし、フル装備の自転車でのライドは慣れていないかもしれません。そのため、最初は簡単なシングルトラックや緩やかなグラベルから始め、荷物を積んだ自転車の操作に慣れるのが賢明です。無理せず楽しく、距離は軽めにし、標高差も控えめに(ただし、挑戦的な冒険が好きな場合は別ですが)。また、言うまでもありませんが、よく装備された自転車修理キットと、その使い方の知識、自転車のコンポーネントに慣れていることが重要です。

場所を見つけるには、地元の自転車ショップに聞くのが良いですが、Bikepacking.comも素晴らしいリソースになります。(日本の紹介も一部あり)便利な地図や、世界中の一泊ツアーの詳細な説明が掲載されています。しかし、他の場所でも、あなたの想像力次第で豊富な機会が得られるでしょう。google mapなどの地図アプリを使い、ストリートビューや衛星写真を参考にすることは、合理的かつ安全で今やルート計画に欠かせません。

パッキング

理想的な自転車は、荷物重量が操作性にできるだけ影響を与えないようにパッキングされていることです。調理器具や食料などの重いものは、通常フレームパックに入れ、重量を自転車の重心に近づけます。寝袋や服などの軽いものは、中心から離れていても、自転車の操作性に大きな変化を与えません。また、通常、トレイルや標準的なバイクパッキングの地形では邪魔になるようなかさばる重いサイドバッグは使用しません。スペースを節約するために、物を他の物の中に詰め込み、各バッグをしっかりと詰めてゆるみをなくし、バッグが自転車にしっかりとフィットしていることを確認してください。少しの揺れでも、自転車の操作性を大きく損なうので、しっかりと固定してライドを楽しんでください。

オフロードでは操作性に妥協をしないことが重要

スマートに旅をする

最後に、最悪の事態に備えましょう。平地を走るからといってヘルメットをおろそかにせず、登山よりも深刻なケガに対応できる応急処置キットとその使い方の訓練を備えてください。荷物を積んだ自転車でスピードを出してクラッシュすると、命に関わることもあります。地図アプリを使って、万が一の場合のエスケープポイントを計画し、常に旅行計画を誰かに伝えておきましょう。また、タイヤ修理用品などの一般的なものは2つ用意し、チェーンが切れた場合など、重要な修理方法を知っておくことが大切です。

新しいバイクパッカーにとって最も重要なことの一つは、「痕跡を残さない(Leave No Trace)」原則をしっかりと理解し、バイクで走る影響で自然がどのような影響を受けるのか知ることです。許可されたキャンプサイトを選び、ハイカー専用のトレイルに入らないようにし、ゴミや必要に応じて排泄物を持ち帰ることが、このスポーツの急速な人気上昇を良いものとして保ち、私たちが走るのを愛する場所へのアクセスを脅かす負担にならないようにするために重要です。

長く自然で遊ばせてもらうためにも、Leave No Trace(痕跡を残さない)で楽しもう

楽しむことを忘れずに!

話すことはたくさんありますが、残りはトレイルを走りながら学ぶのが一番(そして最も楽しい)です。バックパッキングとサイクリングが好きで、まだ両方を組み合わせていないなら、素晴らしい体験が待っています。毎日さらに多くの距離をカバーできるようになり、これまで見たことのない場所を探検する機会が広がります。どこへでも行けるという子供の頃のような自立心を感じることができ、それがバイクパッキングを次の大好きなアクティビティにしてくれるでしょう。

MSRのバイクパッキング専用テントがおすすめ

自転車に乗れば、どんなに遠くだって楽しく旅できる。特に自転車とともに過ごす夜は格別です。
皆さんは、テントをどこに収納していますか?従来だと、テントを収納できるキャパは限られ、快適性を取れば収納方法を試行錯誤する必要があったり、収納方法を考えるのが大変で快適性は妥協してコンパクトな軽量シェルターを選ぶことがあったでしょう。自転車での携行性が高く、快適性も妥協しない。そんなテントがあったら。。。

MSRはそんな悩みを抱くバイクパッカーの為に開発したのが「ハバハババイクパック」です。
このテントは、MSRのベストセラー「ハバハバシリーズ」をもとに、特別にカスタマイズしたバイクパックをより楽しむためのバイクパッカー専用のテントです。

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