ロングトレイルではガソリンストーブが有利に?!

ロングトレイルでは補給なしで1週間以上トレイルに滞在することがよくあります。荷物の重量を減らすことは優先事項ですが、旅の期間中に必要な準備をすることも重要です。食事はフリーズドライの簡単なものから、何段階もの手順を踏んだディナーまで、幅広く調理します。時には氷点下まで気温が下がることもあり、雪を溶かすこともあります。

このようなロングトレイルハイクのためにウィスパーライトは開発されました。
ロングトレイルのように、活動期間が長い場合は実はガソリンストーブの方が重量的に有利になる可能性があることをご存知でしょうか?

ここでは例を使ってガソリンストーブの方が有利になる場合をご紹介したいと思います。

ロングトレイル1週間での比較

条件は

  • 活動期間は7日間とする。
  • 2人で行動する。
  • 無補給とする。
  • 平均温度20℃とする。
  • 沸騰には平均5分かかるとする。
  • 一回あたり5分、二人分で一日合計20分使用する。
  • 1日目と最終日は1回10分使用する。
  • 7日間で120分使用する。
  • ガソリンストーブは別途プレヒートに1回2ml、18回で36ml、29gの燃料用アルコールでプレヒートを行う。
  • ガスストーブはポケットロケット2を使用。
  • ガソリンストーブはウィスパーライトを使用。

ガスストーブの場合

ガスストーブ(ポケットポケット2)は、1分あたり3.8gのガスを消費します。
全行程で120分間使用すると、燃料の消費量は約456gとなります。
つまり、7日間で、110缶を1つ、227缶を2つ持っていく必要があります。(ギリギリ227缶2つでも行けそうですが、ロングトレイルでは必ず予備日を考慮する必要があります)
110缶は実測で210g、227缶が実測で375g,376gなので227缶2つと110缶の組み合わせで961gとなります。

ポケットロケット2が73.7gなので準備する重さは、

項目個数重量(実測)
ポケットロケット2173.7g
ISOPRO1101210g
ISOPRO2272+-375g
合計1034.7g

合計:約1035g

最終日には227缶2つが空に、予備分の110缶1つがほぼ未使用の状態になり、約580gまで軽量化されます。
留意すべきなのは、ガスを使い切った後の缶を最後まで持っていく必要があるということです。
110缶を使い切っても210g-110gで100gが残ってしまいます。もし110缶を5つ持っていくなら、たとえ使い切っても500gを背負い続ける必要があります。

ガソリンストーブの場合

ガソリンストーブ(ウィスパーライト)は、1分あたり4.4mlのホワイトガソリンを消費します。
ホワイトガソリンは比重が約0.7なので、1分辺り3gとなります。
全行程120分使用すると、燃料の消費量は約360gとなります。
ホワイトガソリン360gはつまり、528mlなのでフューエルボトル20oz(容量591ml)が必要です。
ここでは予備日を考慮し、20ozの限度容量の591ml、つまり414gを持っていきます。フューエルボトルに入れると実測で約576gです。
※ちなみに、フューエルボトルのキャップは写真のスタンダードボトルキャップ(約11g)に交換すると15gほど軽量化できます。
ウィスパーライトはポンプを含めて約327g、アルコールが29gなので準備する重さは

項目個数重量(実測)
ウィスパーライト本体1261.5g
ポンプ165g
フューエルボトル(591ml)1575.5g
燃料用アルコール(36ml)129g
合計931g

合計 931g

最終日には、571gまで軽量になります。

結果

ポケットロケット2ウィスパーライト重量差
出発前1035g932g-103g
最終日580g571g-9g

ロングトレイルを1週間の行程で二人で行動する場合は、なんとウィスパーライトの方が約100g軽量で有ることが分かりました。
また、燃料を使い切った後もガスストーブとの重量差はありませんでした。
これは、一般的なガソリンストーブに対する認識とは異なるのではないでしょうか。
このように、ウルトラライトの世界では、短期的に見た時と長期的に見た時では、評価が逆転する場合があります。
得に、氷点下が含まれるようなロングトレイルや長期縦走では圧倒的にガソリンストーブが勝ります。

このように、道具はカタログデータだけでは分からないことが多くあります。
長期的な運用データで評価することで選択が大きく変わることがあります。
まだまだ、まさかの発見が隠れているはずですので、皆さんも研究してみてはいかがでしょうか。

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