小口良平とコーヒー

世界一周自転車冒険家 小口良平さんとの出会い

自転車冒険家「小口良平」さんの世界一周の旅のサポートが始まったのは、今から約10年前の2011年だったと記憶している。彼は2009年に約2年の世界一周の旅に出たが一時帰国したときだったそうだ。もうその時のときの細かい内容は覚えていないが、世界一周と自転車に対しての熱意と帰国後のビジョンに共感して旅のサポートを承諾することなった経緯がある。その帰国後のビジョンを今実行している彼はすごいなーと会うたびにいつも思う。

現在は、長野県辰野町を拠点に行政の委託業務で自転車を使って観光するためのアドバイザーになり、環境整備からロードマップ作りなど色々なことに関わり地域おこしを始めている。この様なプロジェクトは自転車のことだけではなく、いろいろな目線がなければ直感的に難しいことだと思うが、困難を乗り越えてきた経験値がここで活かされるんであろう。

昔、バックパッカーだった自分の経験から見ても、世界を自転車で旅をするには体力だけで達成できるわけではないと思う。僻地では僅かな情報を頼りに進むしかない。本物の情報はローカルとのコミュニケーションが取れなければ旅を続けられないわけで、彼の人柄や熱意が言葉を越えて伝わっているだろうなと想像できる。そんな旅を経験している旅話は楽しいわけで、自然と昔話が盛り上がり、僕もバックパッカー心をくすぐられ旅に出たくなる。

小口良平さんと約1年ぶりに再会できた。今回は一緒に自転車に乗りましょうと。自分は学生時代の通学とマウンテンバイクで少し遊んだ程度で、自転車はほぼ初心者。白樺湖で待ち合わせした。今回の自転車は小口さんに用意してもらった。久しぶりのサイクリングはテンションも上がるが、ヒルクライム。慣れないアクティビティに体力がついていけるかが心配だった。しかし、自分に合わせてのペース配分や休憩のタイミングもさすがプロ。お客さんを楽しませることに慣れている小口さんのガイドにどんどん楽しくなる。約1時間半ほど走って富士山が見えるパーキングでランチにすることにした。「目的地は霧ヶ峰でしたが、見晴らしが素晴らしいのでここでも良いですかね?」と。自分の体力を考えればここが最終地だというのはむしろ助かった。

シンプルにご飯を作ってもらった。地元に友人が作っている防災用のレトルトしたものと、ライスを潰し乾燥させたドライフーズ。アウトドアショップでは販売していないが、防災用をアウトドア料理に持ってくるのはさすがだ。こだわって作られているだけあって、防災用とは思えないくらい、本格的に美味しかった。市販のものを出さないところが小口さんらしい。

食事のあとはコーヒーを淹れてもらった。世界を旅しているときのSNSの写真などで、やたらコーヒーを淹れている写真が多かったので、小口さんは「絶対にコーヒーに拘っている」と確信していた。豆をミルで挽き、ゆっくり丁寧にお湯を注ぐ。ここでもMSRのウィンドバーナーを使いこなしていた。風に影響うけず高速で沸騰させることが得意のバーナーを沸騰する前に止めていた。正確ではないがお湯の温度も気にしている。

富士山も見えるロケーション、自転車で登ってきた充実感、この「おもてなし」と楽しい時間を作ってもらっている。10年前にサポートが始まってから初めて一緒に遊んだわけで、小口良平に会えたうれしさが込み上げ、コーヒーが身に染みた。

小口さんにとってコーヒーとは、

「実は旅する前はすごい苦手でわざわざコーヒーを飲む習慣がなかったんです。」

「会社で働いていたとき営業先でコーヒーを出されるので何か営業の辛さとコーヒーの苦味が一緒で」と実はコーヒーは好きじゃなかったという。

好きになってきた理由は、

「旅の2年目ぐらいにトルコのちょっとドロっとしたコーヒーとかイタリアののエスプレッソの文化を味わって本場って美味しいんだなと思い始めて、そしてコーヒーの起源と言われるエチオピアで味わった時に、ああコーヒーってそういう飲み方をするんだと思ったんです。

それが味を楽しむんじゃなくて、煎るところから始まってドリップさせるんですけど一杯のコーヒーが1時間がかかるんです。そうやってようやくたしなむんですが、それがキャンプの時も同じでコーヒーを飲むだけじゃなくて、飲む心作りから始まってるなと思って、その瞬間が結構好きなので、まさに一息入れるのにコーヒーってすごい相性いいんですよね。サイクリストの人はコーヒーが多いのはたぶん本当に気持ちを入れ替えしやすいのが、コーヒーなのかなと思うとやっぱ必須アイテムになっていますね。」

「ミルで豆を弾いてる時間がすごい楽しい、あえて時代に逆行して時間に関わることをすることが最高の贅沢なのではないかなと思うとキャンプも快適さを求めるなら変な話、家の方が快適なわけで、なぜその真逆にいることがすごい贅沢に感じられるってことはそこが心の豊かな人間なんじゃないかなと思います。」

「コーヒーを淹れる瞬間は旅を思い出すし、本当に普段忙しい中であえてこんな淹れるっていう作業をするって、気づきもあるし贅沢なことしてるし、やっぱり大切だから続けていこうっていうのにコーヒーが気づきやすいんですかね。だから僕にとっては自転車とキャンプにコーヒーは欠かせないですね。」

コーヒーへの思いの話を聞きながらランチを楽しんだ。

この話を聞いたら間違いなく、手挽きのコーヒーミルが欲しくなる。

帰りは楽チンだと思っていたが、風が厳冬期のように冷たく、スピードが出れば出るほど、凍り付くような寒さだった。下半身はサポートタイツと短パンで防寒対策をしていなかった。登りは汗をかき熱くなるだろう予報通りだったが、下りが真逆でめちゃくちゃ寒い。自転車の経験値がないということだ。小口良平と自転車の世界を味わった楽しい一日だった。


世界一周 自転車冒険家 小口良平

grav bicycle(代表)

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