BACKCOUNTRY RESEARCH

【BBB vol.8】三種の神器に追加せよ!|熊よけスプレー

Bull‘s 新三種の神器のひとつに加えたアイテム

登山における三種の神器をご存じだろうか。

言わずと知れた“バックパック・登山靴・レインウェア”である。これは登山を始めようと思ったら大概の方は必要だと思っているものだと思うし、絶対的に無くてはならないものである。

筆者はこの基本三種の神器は絶対として、自分の中での新三種の神器がある。

“ヘッドランプ・携帯用浄水器・GPSアプリ”だ。これはあくまで個人的な三種の神器なので、すべての人にとって三種の神器になるわけではないが、お持ちすることを強くお勧めしたいと思うが、これにもう1つ加えたいアイテムがある(三種ではなく四種になってしまうが。。)。筆者がこの数年、常に携帯するようになったもの。

“クマよけスプレー”だ。

ハート型がチャーミングだ

筆者の趣味、そして仕事柄、山間部に入ることが多い。で、今まで3度ほどクマに遭遇している。いずれもツキノワグマだが、1度だけ本気でヤバいと思ったことがある。

20年以上前の話ではあるが、下山中に気持ちの良い斜度だったので軽く走っていた際、見通しの悪い曲がり角に差し掛かった時に目の前にクマがいたのだ。出会い頭のクマは危ないと聞いたことが頭を過りヤバい!と思ったがクマの方が藪に飛び逃げていった。肝を冷やした瞬間だった。

因みにその時は熊よけスプレーはおろか、熊鈴も携帯していなかった。。遭遇以上に威嚇は何度もされているので、熊も人が怖いし、出来れば会いたくないと思っているはず。だと思っていたが、ここ数年のニュースなどを聞いていると本当にそうだろうかと思ってしまう。その手の動画などを見ていると明らかに襲ってきている。子熊を守るためとかでなく、人と認識して襲ってきているように感じるのだ。

以前、知人から聞いた話がある。知人がデナリ国立公園に行った際、パーク内でキャンプするためのパーミットを取得し、レンジャーによるレクチャーを受けた。その際レンジャーに言われた言葉に衝撃を受けたというのだ。クマと遭遇したら「ハイ!ベアー」と目をそらさず少しずつ距離を取るなど日本でもあまり変わりない対処法だが、その後に言われたのが

「申し訳ないが死んでくれ」

これはクマと遭遇した際、明らかに距離を縮めてきた際に持っている食料やバックパックなどを投げて逃げるなということで、この愚行により以後、人間を襲えば美味しい思いができると思ったクマは多くの人間を襲うことになる。そうならないためにも「申し訳ないがお前が死んでくれ」と言われたそうだ。

この話は四半世紀ほど前の話だが、最近アラスカに行った知人によるとスタンスは今も変わっていないようだ。バックカントリー = 野生動物の家であり庭なのである。彼らのテリトリーにお邪魔する側として彼らに敬意を払い、ルールを守ることで秩序が保たれるし、アメリカの国立公園では現に保たれている。昨今の日本のように連日クマのニュースが流れることはない。

アラスカの原野はグリズリーが支配している(よく見るとくまの親子がこちらを見ている)

長くなったが、今の日本における熊被害は尋常ではないレベルまできている。前著したように一昔前までは熊鈴すら常に携帯していなかった。北海道で登山やフライフィッシングをする際は鈴とスプレーをお守り程度に携帯していたが、この数年は本州でも携帯するようなった。鈴やラジオを鳴らし人間の存在を事前に知らせているが、それでも襲われそうになった際は護身しなければならない。

そこで有効になるのが熊よけスプレーだ。前著した内容を踏まえると筆者が三種の神器に追加した理由が分かってもらえると思う。今回紹介する熊よけスプレーは「Counter Assault」というアメリカブランドのスプレーでアメリカのEPA(環境保護庁)に「クマ撃退剤」として正式に認証されているスプレー。日本のヒグマ以上のグリズリーに対応できるのであればその効果はお墨付きである。昨今色々な種類のスプレーが発売されているが、性能の差は歴然で、下記で類似品とのスペックの違いなども紹介しているので是非見て欲しい。

熊よけスプレーCA290 カウンターアソールト ストロンガー

熊よけスプレー
CA290 カウンターアソールト ストロンガー

熊よけスプレーとしての性能は名実ともにストロングだ

ただ、スプレーを使用するにあたり注意点がある。

必ず風上から噴射すること!

理由はお分かりの通り、自爆することになる。また衣類に内容物が付着した場合、乾燥することで熊を寄せ付けることになるのでその点も注意が必要だ。また、スプレーの射程内で噴射することも忘れずに。怖くて噴射してしまって届いていないとわかったら、せめて下に向けよう地面に付いた匂いに熊が気を取られている間に距離を離すことができる。この方法はアメリカのレンジャーも推奨している。ただ背を向けて走るのは自殺行為となるので絶対やめよう。

一昔前まではお守りだったが、今や三種の神器にまで上り詰めたアイテム。山に入るなら必携品といってもよいだろう。

あっ!この数年で三種の神器になったGPSアプリも凄いか!Bull‘s新三種の神器についてはいつか記事にしたいと思う。

すでに隣人となった熊と向き合う必要があるだろう
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