水辺を楽しむ家族を訪ねて|信州・野尻湖畔SUPファミリーキャンプ

文・福瀧智子 写真・田島継二

長野県の北部・信濃町。四季折々に表情を変える豊かな信州に暮らす、ある家族を訪ねました。夫婦ふたりだった仕事や活動から家族が増え、新しいライフスタイルへ。どんなキャンプを楽しんでいるのかお聞きしました。

丸山ファミリー

丸山隼人さん・春菜さんご夫婦と、長男の慧人けいとくん(4歳)、長女の藍菜あいなちゃん(1歳)。ご夫婦は冬はスノーボードのライダーとして、夏は野尻湖でのSUPガイドとして活動する。子どもたちは長野県・信濃町の自然の恩恵を受けながら、すくすく元気に成長中!

ぼくの大好きな湖のほとりで今日は家族でキャンプだよ

 湖面を抜ける柔らかな風が子どもたちの歓声と溶け合う、ある夏の心地よい昼下がり。野尻湖の湖畔で家族キャンプを楽しむ丸山さん一家の姿がありました。

 ナウマンゾウの化石で有名な野尻湖は、新潟県との県境に近い長野県北部・信濃町にある湖です。のびやかな黒姫高原や妙高高原に囲まれた高原地にあり、湖上からは斑尾山や黒姫山といった北信五岳がのぞめるという絶好のロケーション。湖の形が芙蓉ふようの花に似ていることから別名「芙蓉湖」とも呼ばれ、上信越国立公園でも人気の観光スポットとして知られています。

 そんな恵まれたフィールドが広がる野尻湖の西岸で、「スロープ・プランニング」というガイドカンパニーを営むのが丸山夫妻。夏はおもにここ野尻湖でSUP(スタンドアップパドルボード)を中心とした水のアクティビティのツアーを開催しています。

「今では広く知られるようになったSUPですが、一般のサーフボードよりも大きく浮力があり、湖のようなうねりのない場所であれば、初心者でも簡単に立つことができる水の遊びです。風が穏やかな日は漕ぐ力もさほど必要でないので、小学生も楽しむことができるほど。うちで1番多いのは半日の体験ツアーですが、経験者の方や常連さんは1日ツアーを利用される方も多い。この野尻湖のロケーションが本当にすばらしいので、時間をかけて漕ぐゆったりとした楽しみ方をみなさんわかっているというか」

 そう代表の丸山隼人さんが笑います。さきほどから4歳になる慧人くんも野尻湖がまさに自分の庭といわんばかりの雰囲気で、この日も水遊びに夢中でした。でも、なぜ湖なのに屋号が“スロープ”なのでしょうか?

「それはもともと私たちの活動が雪山からスタートしたからですね」と、春菜さんが引き継ぎます。じつはおふたり、SUPガイドであるとともに、スノーシーズンでは有名なプロスノーボーダー。スキー場のゲレンデだけでなく、自然地形やパウダースノーを滑るライディングスタイルが多くの人を惹きつけ、雑誌やムービーといったメディア活動のほか、スキル向上のためのイベントやレッスンキャンプも開催。隼人さんは“バブルス”という愛称で知られる、コアなファンから絶大な人気を誇るライダーであり、春菜さんもまた女性ライダーとしてスノーボードや自然とともにあるライフスタイルの魅力を発信しています。

「冬に夫が仲間とスキー場で造る人工的なボウル地形やスロープ制作の方がもともと活動の中心にあり、スロープ・プランニングという屋号もそこから生まれました。ここ信濃町にはスノーボードともっと密接でありたいという思いで15年ほど前からふたりで暮らし始めました。そしてSUPと出合い、家の近くに野尻湖があって。ふたり揃ってサーフィンも大好きなので、SUPを仕事にしたらよいのではとスタートしたのがこの夏の仕事です。自分のために漕ぐときも、ずっと滑り続ける身体を保つためとか、自分を癒すためなど、モチベーションはさまざまですが、今では家族の時間も深めてくれる我が家に欠かせないツールになっているんじゃないかな」

SLOPE PLANNING

夏季はおもに信濃町にある野尻湖でSUPを中心とした水のアクティビティを提案。冬季は信越・妙高エリアをベースにスノーボードキャンプやイベントを開催し、自然地形やパウダーのライディングの技術を広く伝えている。

※電話受付11:00〜18:00

キャンプを通じて自然のなかにもっと深く踏み込むことができるようになる。

朝焼けに染まる空の下、パドルでそっと水面をたぐり寄せる。言葉のいらない静寂のひと時。

 雪国へスノートリップに出かけるときも、日本海へ波乗りに行くときも、これまでは外では車中泊が中心だったというふたり。仕事道具でもあり、宿泊の手段でもある愛車ハイエースは装備も万全で、何日泊まっても快適に過ごせる仕様になっているそうです。

「ただ、僕らのライフスタイルにも変化が生まれました。ふたりだった頃から慧人が生まれ、藍菜が生まれ、家族の人数が増えました。この先、子どもがもう少し成長して今より手がかからなくなれば、家族でサーフィンに出かけて何泊かし、テントを張る、ごはんの支度をするという時間だって持てるようになる。そうしてキャンプを通じて自然のなかにもっと深く踏み込むことができるようになると思うんですよね。最近は仕事場でもあるここ野尻湖畔にときどきテントやタープを張って、第2の家のように使ってみています。慧人はもちろん藍菜も水辺を怖がらず、僕らの子どもだなぁと思うんですよね。国内の水辺や雪山を一緒に旅できたら本当に楽しいだろうな」

 キャンプのためにキャンプに行くのではなく、遊びの先にキャンプがある。丸山家のライフスタイルはそんなキャンプとの付き合い方がよく似合います。野尻湖で遊びまわる慧人くんや、水辺に佇む藍菜ちゃんの姿に、日本の自然を遊び尽くすたくましい未来が見えた気がしたのでした。

記事で使用しているアイテム

TICKET TO THE MOON

ハンモック:オリジナルハンモック

バリ発のハンモックブランド「チケットトゥザムーン」。パラシュート生地を用いた本体は軽量コンパクトながら強度に優れ、肌触りや通気性がよく、設営も簡単。世界中のバックパッカーや音楽フェス、キャンプの場などで愛される。カラーリングも多彩で、設営場所がパッと華やかになる。

価格:¥7,810
使用サイズ:320×200cm
収納サイズ:40×13×11cm
重量:600g
耐荷重:200kg  ※専用ストラップ別売

TEPPA

ハンマー:ベースキャンプハンマー

高強度のスチール製ヘッドを備えたシェルター用ペグハンマー。ハンドルは天然木を使用し、カラビナを通すことを想定した穴付き。ヘッドの重さで硬い地面にもラクにペグを打ち込めるが、手にしたときのバランスがよく、重量以上に軽く感じる。

価格:¥6,600
サイズ:28.3×12.4×3.5cm
重量:650g

MSR

テント:ハビスケープ4

丸山家のような遠征好き家族に使い勝手のよい4人用テント。設営が直感的で素早く、大人でも余裕を持って立てる185cmの室内高や、前後に備わるふたつの前室付き出入り口など機能面に優れる。子どもの手が届かない位置にポケットを複数備える点も非常によく考えられている。

価格:¥74,800
使用サイズ:363×241×185(h)cm
収納サイズ:61×23cm
定員:4人
重量:5,760g

FIRESIDE OUTDOOR

焚き火台:ポップアップピット

ワンアクションで脚を広げ、瞬時に組み立てができる焚き火台。四方のファイヤースペースは62cmと広く、炭や薪を載せるステンレス製メッシュの効果で、燃焼効率のよさは野外料理人も太鼓判を押す。食材を載せたステンレス製四つ折りグリル(上写真)は別売り。

価格:¥15,400
使用サイズ:62×62×39cm
収納サイズ:68.5×13×13cm
重量:3.6kg

ICEMULE

保冷バッグクラシッククーラーM

筒状のソフトクーラーだが、最大の特徴は断熱層に空気を吹き込んで外部からの熱をシャットアウトし、保冷力をキープすること。入口はロール式で内容量に合わせしっかり閉めることで中身の固定にもなる。保冷時間は24時間以上。

価格:¥11,000
サイズ:40×26cm
収納サイズ:38×18cm
重量:780g 
容量:15L
サイズ展開:ミニ、S、M、L
カラー:アイスミュールカモ(写真)、他5色

PACKTOWL

着替えポンチョ:チェンジングポンチョ

パックタオルの素材がもつ吸水・速乾性や防臭性を活かし、タオルと着替えスペースをひとつにした便利なポンチョ。どこでもプライベート空間を確保でき更衣室になる。ハングループ付きで乾燥させやすく、フロントにあるカンガルーポケットは着替えを入れるのに役立つ。

価格:¥9,680
サイズ:S/M(身長152~175cm向け)
    L/XL(身長175~193cm向け)
重量:510g(S/M)、595g(L/XL)
カラー:ボタニカル、他2色
素材:ポリエステル、ナイロン

ICEMULE

タオル:パーソナル(アーティストシリーズ)

自重の4倍もの水を吸収する、アウトドア界のベストセラータオル。非常にソフトで軽く、速乾性に優れるだけでなく、サイズやカラーも豊富に揃う。写真はサイズ「BODY」でバスタオル大の大きさ。水辺だけでなく旅行や日々のジムなど、利用の場面は多岐にわたる。

価格:¥5,280
サイズ:BODY(64×137cm)
重量:181g
カラー:デイドリーム、他2色
素材:ポリエステル、ナイロン

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