液体燃料のMSRガソリンストーブは火力が強く、冬場でも難なくお湯を沸かしたり調理したりすることができますが、そんな頼もしいストーブでも定期的にメンテナンスを行わなければ、火力低下、燃料漏れ、または点火できないこともあります。基本的には各部のクリーニングと消耗品の交換を定期的に行っていればまずトラブルは起こりませんので、フィールドでトラブルを回避するために定期的にメンテナンスを行いましょう。
目次
よくあるトラブルとその対処法
特に多いトラブルはこの2つです。
・ フューエルポンプの燃料漏れ
・ 火力低下
燃料れについてはOリングとポンプシールの交換だけで改善されます。使用頻度にもよりますが、1回/年の交換を目安に交換をおすすめします。燃料が漏れることで燃料漏れを止めるためにコントロールバルブを締めすぎてポンプ本体のネジを破損させてしまうことや、簡単に発火し、火事、重度のやけど、物的損害、身体への損傷、および死亡に至る可能性がありますので、ストーブの使用を止め早急にOリングを交換してください。
火力低下についてはフューエルラインの汚れ、ジェットの穴詰り、ミキサーチューブの汚れが原因として件数が多いです。他にも要因が重なり火力低下を起こしますが、基本的にクリーニングで改善されることが多いので定期的にクリーニングをおすすめします。

あと点火できない症状で各部ストーブ本体のクリーニングを行っても改善されないとのことで修理に持ち込まれることがあります。その原因はポンプから燃料がストーブ本体に送られていない可能性が高いです。フューエルポンプのディップチューブがパッキングの際にくせがつき、燃料ボトル内の燃料が少なくなったことで、フィルターの先端が燃料ではなく上部の空気を吸ってしまうことで、燃料が流れず燃焼しないわけです。
改善方法はディップチューブを抜き取り下向きに差し込むか、くせがつき過ぎて劣化している場合は新しいパーツに交換してください。この症状は目視で確認できますので、燃料ボトルにポンプを取り付ける際にチェックしてください。
FAQ
メンテナンスに必要な道具



ドラゴンフライ

ドラゴンフライのメンテナンス方法をご紹介いたします。
メンテナンス動画
パーツの名称

A:フレームアジャスターOリング
B:フレームアジャスターバルブ
C:ワイヤーハンドル
D:ウィック
E:バーナーヘッド
F:フレームアジャスターチューブ
G:フューエルラインフィルター
H:シェイカーニードル
I:ジェット
J:フレームスプレンダー
K:エンクロージャー
L:プッシュナッツ
早見表
症状 | メンテナンス |
ゴトクの破損 | エンクロージャーとバーナーヘッド(フューエルライン)の分解 |
---|---|
ウィックの消耗・劣化 | ウィック |
ジェットの穴の汚れ詰りよる燃焼不良 ジェットの穴の消耗による火力低下 | ジェット |
フィルター汚れていると燃料の流れが悪く 火力低下の原因になる | フューエルラインフィルター |
火力低下 汚れが酷い場合は燃料が流れず点火しないこともある | フレームアジャスターバルブ |
火力低下 汚れが酷い場合は燃料が流れず点火しないこともある | フレームアジャスターチューブ |
燃料漏れ | アジャスターバルブOリング |
エンクロージャーとバーナーヘッド(フューエルライン)の分解

バーナーヘッドの軸を固定しているプッシュナッツをラジオペンチで取り外します。

軸を横にずらして、バーナーヘッドをエンクロージャーから外します。
ゴトクの交換はエンクロージャー一式になりますので、折れたヶ所だけの1本の交換はできせん。
ウィック

古いウィックを取り外します。

ウィックに針金を通します。

バーナーヘッドの下部に針金を巻き付け、緩まないようにペンチで締めます。

余った針金をペンチで切断します。

取り付け完了。
ジェット

フレームスプレンダーをラジオペンチで外します。脚を2ヶ所広げると外れます。

ジェットの凹みにマイナスドライバーを添えて反時計回りで緩めます。

マイナスドライバーの代わりに付属品のジェット&ケーブルツールとクリーニングツールを使っても代用ができます。

ジェットを緩めると中にシェイカーニードルが収まっています。ジェットは付属のジェットクリーニングワイヤーで穴に詰まった汚れをクリーニングします。
フューエルラインフィルター

安全ピンの先でフィルターを取り出します。

フィルターを平らな硬い表面上に置き、フューエルラインを垂直に下ろしフィルターをはめ込みます。
フレームアジャスターバルブ

ジェット&ケーブルツールを使い、ナット部を反時計回りで緩めます。

ナット部を緩めたら、指で回し最後まで緩めます。

ナットを緩めたらアジャスターバルブも反時計回りで緩めます。

フレームアジャスターバルブをフレームアジャスターチューブから抜きます。

溝の汚れをジェットクリーニングワイヤーの針と反対側の縁で擦ります。


汚れが酷い場合は、クリーニングツールの先で汚れを削り落とします。
フレームアジャスターチューブ

フレームアジャスターバルブのワイヤーハンドルを外し、付属品のクリーニングツールに取り付けます。

ジェットは外した状態で、フレームアジャスターパイプにクリーニングツールを差し込みます。

クリーニングツールを一番奥まで差し込み奥に押し込みながら、時計回りに回転させ内部の汚れを削り落とします。(約20回)

フレームアジャスターバルブを固い表面上でたたき、剥がれた汚れを取り除きます。

ジェットを取り外した状態で、内部をパーツクリーナーでフラッシングし汚れを洗い出します。
アジャスターバルブOリング

安全ピンの先でOリングを引っ掛けます。

Oリングを指で送って外します。
ウィスパーライト&旧ウィスパーライトインターナショナル

ウィスパーライト&旧ウィスパーライトインターナショナルのメンテナンスをご紹介します。
メンテナンス動画
パーツの名称

A:バーナーキャップスクリュー
B:バーナーキャップ
C:フレームリング
D:フレームリフレクター
E:ワイヤーレッグ
F:ウィック
G:プライミングカップ
H:ミキサーチューブ
I:ジェット
J:シェイカーニードル
K:フューエルライン
L:カットケーブル
ウィスパーライトパーツ
旧ウィスパーライトインターナショナル
早見表
クリーニング・交換方法 | メンテナンス方法 |
フューエルラインの破損・寿命による交換 各部のクリーニングするときにここから分解する | 本体とフューエルラインの分解 |
---|---|
火力低下 汚れが酷い場合は燃料が流れず点火しないこともある | カットケーブル/フューエルライン内部 |
ジェットの穴の汚れ詰りよる燃焼不良 ジェットの穴の消耗による火力低下 | ジェット |
レッグが変形したり、溶接が外れてしまった場合に交換 | ワイヤーレッグ |
炎を安定させるためのパーツ | バーナーヘッド&フレームリング |
内側にススが溜り火力低下や赤火の原因になる。 | ミキサーチューブ |
ウィックの消耗・劣化 | ウィック |
本体とフューエルラインの分解

プライミングカップを反時計回りで緩めます。

プライミングカップを外しました。一緒にウィックも外れます。

ミキサーチューブからフューエルライン先端部のジェット部を抜きます。

ワイヤーレッグからフューエルラインを外します。

カットケーブル/フューエルライン内部


ジェット&クリーニングツールの穴を利用してカットケーブルを矢印の方向に引き抜きます。汚れが酷い場合は抜きずらいので、ペンチで掴んで抜いてください。


カットケーブルの汚れをウエス等で拭き取ります。汚れが酷い時はパーツクリーナーも使用してください。

カットケーブルを戻し、フューエルライン内部を約20回、約13cmほど出し入れし擦って汚れを落とします。動きが悪い場合はペンチでカットケーブルを掴んで作業を行ってください。

ジェットを取り外した状態で、内部をパーツクリーナーでフラッシングし汚れを洗い出します。
ジェット

本体とフューエルラインを分解してから、ジェットは付属品のジェット&ケーブルツールで緩めます。

指で回し最後まで緩めてジェットを外します。

ジェットを外すと中にシェイカーニードルがあります。

ジェットは付属のジェットクリーニングワイヤーで穴に詰まった汚れをクリーニングします。シェイカーニードルの先の針でもクリーニングできます。
ワイヤーレッグ

左からミキサーチューブに通すワイヤーが上向き、平行、下向きになるように並べます。

一番左の上向きの上に平行、下向きの順で乗せていきます。

重ねた状態でミキサーチューブに通します。

セット後、横から見た状態。

上から見た時、この位置にレッグを固定してください。

フューエルラインを取り付けるときは、一番手前のレッグに通してください。
このレッグに通さなければフレームリフレクターにセットできません。
バーナーヘッド&フレームリング

プラスドライバーでバーナーキャップのネジを反時計回りで緩めばらします。

バーナーヘッドの汚れは真鍮ブラシで磨きます。

フレームリングの汚れも真鍮ブラシで磨きます。錆が酷い場合は新しいパーツと交換してください。

波形状(4枚)とフラット形状(3枚)のものを交互に重ねます。

ミキサーチューブ

ミキサーチューブの内側を真鍮ブラシで掃除します。

横穴も掃除します。

先の小さな穴は綿棒で掃除します。
ウィック

新しいウィックは少し広げて癖をつけると取り付けやすいです。

ミキサーチューブの下部にウィックをはめて、プライミングカップを下から取り付けます。
ウィスパーライトインターナショナル

ウィスパーライトインターナショナルのメンテナンス方法を紹介します。
メンテナンス動画
パーツの名称

A:バーナーキャップスクリュー
B:バーナーキャップ
C:フレームリング
D:フレームリフレクター
E:レッグAssy
F:ウィック
G:プライミングカップ
H:ミキサーチューブ
I:ミキサーチューブクリップ
J:ジェット
K:シェイカーニードル
L:フューエルライン
M:カットケーブル
早見表
クリーニング・交換方法 | メンテナンス方法 |
フューエルラインの破損・寿命による交換 各部のクリーニングするときにここから分解する | 本体とフューエルラインの分解 |
---|---|
炎を安定させるためのパーツ | バーナーヘッド&フレームリング |
レッグが破損・変形した場合に交換 | レッグAssy |
※カットケーブル/フューエルライン内部、ジェット、ミキサーチューブ、ウィックの交換・クリーニング方法についてはウィスパーライトと同様のメンテナンス方法です。
本体とフューエルラインの分解

プライミングカップを反時計回りで緩め外します。

フューエルラインは下に引けば簡単に外れます。
バーナーヘッド&フレームリング

六角レンチ(3mm)でバーナーキャップのネジを反時計回りで緩めばらします。

ネジを外すと分解できます。

フレームリングのクリーニング方法についてはウィスパーライトインターナショナルと同様です。

波形状(3枚)とフラット形状(5枚)あり、上から波/フラット/波/フラット/波/フラット/フラット/フラットの順に重ねます。
レッグAssy

レッグを交換する場合は、ミキサーチューブクリップを外します。

専用の工具でクリップの穴に先端を差し込み広げます。ミキサーチューブからクリップとレッグを外します。
XGK EX

XGK EXのメンテナンス方法を紹介します。
メンテナンス動画
パーツの名称

A:フレームスプレンダー
B:プライミングパット
C:フューエルライン
D:カットケーブル
E:ジェット
F:シェイカーニードル
G:プッシュナッツ
H:エンクロージャー
早見表
クリーニング・交換方法 | メンテナンス方法 |
火力低下 汚れが酷い場合は燃料が流れず点火しないこともある | カットケーブル/フューエルライン内部 |
---|---|
ジェットの穴の汚れ詰りよる燃焼不良 ジェットの穴の消耗による火力低下 | ジェット |
消耗による劣化破損 | プライミングパッド |
カットケーブル/フューエルライン内部

ジェット&クリーニングツールの穴を利用してカットケーブルを矢印の方向に引き抜きます。汚れが酷い場合は抜きずらいので、ペンチで掴んで抜いてください。

カットケーブルの汚れをウエス等で拭き取ります。汚れが酷い時はパーツクリーナーも使用してください。

カットケーブルを戻し、フューエルライン内部を約20回、約13cmほど出し入れし擦って汚れを落とします。

ジェットを取り外した状態で、内部をパーツクリーナーでフラッシングし汚れを洗い出します。
ジェット

フレームスプレンダーをラジオペンチで外します。脚を2ヶ所広げると外れます。

ジェットの凹みにマイナスドライバー(ジェット&ケーブルツール)を添えて反時計回りで緩めます。

ジェットを緩めると中にシェイカーニードルが収まっています。ジェットは付属のジェットクリーニングワイヤーで穴に詰まった汚れをクリーニングします。
プライミングパッド

バーナーヘッドの軸を固定しているプッシュナッツをラジオペンチで取り外します。

軸を内側にずらしバーナーヘッド部を上に持ち上げます。

プライミングパットをバーナーヘッドの横から滑り込ませます。

プライミングパットをバーナーヘッドの真下になるように調整してください。
スタンダードフューエルポンプ

スタンダードフューエルポンプのメンテナンス方法を紹介します。
メンテナンス動画
パーツの名称

A:ポンププランジャー
B:ポンプカップ
C:ポンプシール
D:コントロールバルブ
E:コントロールバルブOリング
F:チェックバルブ
G:フューエルチューブOリング
H:ブッシング
I:ポンプケース
J:ディップチューブ
早見表
不具合の内容または機能 | メンテナンス |
ポンプカップ注油、交換のため ポンププランジャーの交換ため | ポンププランジャーの外し方 |
---|---|
ポンプカップ劣化 劣化が進むと硬化します。 | ポンプカップ交換 |
Oリング劣化による燃料漏れ 劣化が進むと硬化します。 | コントロールバルブOリング交換 |
Oリング劣化による燃料漏れ 劣化が進むと硬化します。 | フューエルチューブOリング交換 |
ポンプシール劣化による燃料漏れ 劣化が進むと硬化します。 | ポンプシール交換 |
フィルター汚れによる火力低下 | ディップチューブ交換 |
ゴミ詰りによる燃料逆流 | チェックバルブ |
※本体は樹脂製のため、使用回数に関わらず経年劣化します。安全の為に定期的な点検と交換をお奨めします。
ポンププランジャーの外し方

矢印1、2、3がポンププランジャーを外す手順になります。

矢印1の先端を写真の位置に合わせ、動かさないようにして矢印2の方向へ回転させて下さい。

プランジャーの固定が解除され、矢印3の方向に抜きます。

プランジャーが外れました。
ポンプカップ交換

ポンプカップが破損・硬化していないか確認します。

交換する場合はポンプカップをつまんで外します。

新しいポンプカップを取り付け、同時にポンプカップオイルを注します。
コントロールバルブOリング交換

燃料調整つまみを反時計回りで緩めます。

ジェット&ケーブルツールを使い、つまみの付け根の真鍮部も反時計回りで緩めます。

真鍮部を緩めたら指でつまみと真鍮部を交互に緩めます。

コントロールバルブが外れました。

Oリングを安全ピンの先に引っ掛け取り外します。

新しいOリングを取り付けます。
フューエルチューブOリング交換

ジェット&ケーブルツールを用意します。

ブッシングの溝にジェット&ケーブルツールの先端をあてマイナスドライバーのように使います。

しっかり押し付けながらゆっくり反時計回りで緩めます。

ブッシングを外したら、Oリングを安全ピンで取り出します。


新しいOリングを入れます。

Oリングにポンプカップオイルを少し注します。
※本体を差し込むときに滑りやすくするためです。

ブッシングをはめてジェット&ケーブルツールで時計回りでロックします。
ポンプシール交換

指でポンプシールを押してめくるようにして外します。

ディップチューブ交換

フィルターの先が汚れてきたら交換します。

交換はチューブを引っ張って抜きます。新しいパーツは差し込んでください。
チェックバルブ

ジェット&ケーブルツールを用意します。

先端をチェックバルブの溝に先込み、反時計回りで緩めます。

緩めるとバネが解除され、チェックバルブが外れます。
ボールにゴミがついている場合は取り除く。
ドラゴンフライフューエルポンプ

ドラゴンフライフューエルポンプのメンテナンス方法をご紹介します。
メンテナンス動画
パーツ名称

A:ポンププランジャー
B:ポンプカップ
C:ポンプシール
D:コントロールバルブ
E:ポペットASSY
F:コントロールバルブOリング
G:チェックバルブ
H:フューエルチューブOリング
I:ブッシング
J:ポンプケース
K:ディップチューブ
早見表
クリーニング・交換方法 | メンテナンス方法 |
Oリング、スプリング劣化 コントロールバルブの動きが悪くなる | ポペットASSY交換 |
---|
※ポペットASSY以外のメンテナンス方法はスタンダードフューエルポンプと同じ手順です。
※本体は樹脂製のため、経年劣化します。安全の為に定期的な点検と交換をお奨めします。
ポペットASSY交換


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